暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第5楽章〜交わる想い、繋がるとき〜
第52節「繋いだ手だけが紡ぐもの」
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だからね?』
 響の声に、翔は力強く答える。
「ああ、無茶するほどの事でもないさ。響、君は雪音を頼む。多分、激しく動揺しているはずだから、落ち着かせてやって欲しい」
『分かった!何とかしてみる!』
 通信を終えると、翔は両拳を握って構える。
「純、これで俺とお前の1対1だ。……お前が自分の意思で本気をぶつけて来てるんだ。手加減はしない、本気でかかってこい!」
 向き合う2人はしばらく睨み合い、やがて床を蹴るとそれぞれの拳を繰り出した。

 

「そんな……ジュンくんが……」
 クリスは酷く動揺していた。
 助けようとしていた相手が、敵からの刺客として現れたのだ。しかも、その責任の一端が自分にあるとすれば、戦意を喪失するのも無理はない。
 引き金にかけていた指が離れ、クロスボウが足元に落ちる。クリスはそのまま膝を屈し、項垂れた。
「あたしの……あたしのせいだ……。あたしがあの時、シンフォギアで戦って、ジュンくんを助けていれば……こんな事には……」
「おい雪音ッ!」

 翼の声が響く。声の方向を見たクリスの目に映ったのは、新たに呼び出されたノイズ達を斬り伏せていく翼だった。
「何を項垂れている!お前がやらねば、誰があの親玉を倒すというのだッ!」
「ッ……!」
「お前とあのアキレウスの鎧を着た者が、どんな関係なのかは知らん!だが、あいつは翔が……私の自慢の弟が、必ず連れて戻るッ!だからお前は、お前の成すべき事を成せッ!」
「あたしの……成すべき事……」
 クリスは視界の端に転がるクロスボウを見る。
(あたしのやるべき事……やらなくちゃいけない事……。そうだ、やっと分かったんだ。あたしの夢は……あたしのやりたい事は……)

「クリスちゃん!」
 今度は響の声に振り向く。
 響もまた、クリスを狙おうとするノイズを片っ端から殴り倒していた。

「さっきの人、クリスちゃんにとって凄く大事な人なんだよね?」
「えッ!?あ、いや、その……」
 大事な人。そう言われ、反射的に誤魔化そうとして……そして気が付いた。
(いや……こんな風に素直じゃないから、自分の本当の気持ちに気付くまでこんなにかかっちまったんだよな……。別に否定する必要も無い事実だし、これはあたしがやりたい事にも関わってくる事だ……。なら、否定していいわけねぇよなッ!)

「……ああッ!あたしの帰りをずっと待ち続けて、待てなくなったからって態々迎えに来てくれるような大馬鹿野郎だッ!」
「へへっ、じゃあ、その人がクリスちゃんと帰れる場所、ちゃんと守らなくっちゃね!」
 響はクリスに向かって微笑むと、再びノイズ達へと向かっていく。
 周囲に敵はいない。今なら存分に、イチイバルの全砲門へとエネルギーをチャージ出来る。
 クリスはクロスボウを拾う
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