暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生の林檎園
第一幕その五

[8]前話 [2]次話
「だからあの人に倒された人達はね」
「嫌いじゃないんだ」
「どうしても」
「そうなのね」
「平家も倒されてるし」
 先生はさらにお話しました。
「源義経もそうだね」
「実の弟さんなのにね」
「お母さんは違っていても」
「源頼朝ってもう一人の弟さんも殺してるし」
「そして木曽義仲も」
「敵はもう徹底的にね」
 源頼朝という人はというのです。
「殺してしまう人だったからね」
「だから日本でも人気ないのね」
「鎌倉幕府を開いた人でも」
「学生さんも嫌いだって言う人ばかりだし」
「先生達もね」
「日本は元々ああした行いは好まれないんだよ」
 源頼朝の様に敵に一切情け容赦しない人はというのです。
「織田信長だってあそこまでしていないよ」
「あっ、そうなんだ」
「よく沢山の人を殺した残酷な人って言われてるけれど」
「あそこまで殺さなかったんだ」
「源頼朝よりは」
「自分に背いた人でも最後の最後まで戻れって言ったし降ったらね」
 敵でもというのです。
「赦していたから」
「そうだったんだ」
「源頼朝みたいに全て殺さなかったんだ」
「敵は皆殺しとか」
「そうだよ、それは平清盛も同じで」
 平家物語では最大の悪人のこの人もというのです。
「降れば赦していたし」
「戻ればそれでいい」
「そうした人だったの」
「その証拠に源氏は身内で殺し合ったね」
 源頼朝のこの家はです。
「けれど平家は殆どないから」
「ふうん、そうなんだ」
「平家は身内はまとまっていたんだ」
「源氏と違って」
「そうだったのね」
「そうだよ、決してね」
 本当にというのです。
「源氏みたいにまず身内を粛清するとか」
「そんなことはなくて」
「身内はしっかりしていた」
「争わなかったの」
「平清盛がしっかりとまとめていたから」
 実はとても家族思いだったこの人がというのです。
「家臣もそうだったしね」
「そういえば家臣思いだったね」
「先生が調べた史実では」
「そうした人だったから」
「家臣もまとまっていたんだ」
 そうだったというのです。
「何しろ外で寒さで震えている身分の低い家臣の人達に部屋に入って温まる様に言う人だったからね」
「あれっ、優しいね」
「当時身分は絶対だったのに」
「欧州でも日本でも」
「身分の低い人にそうするって」
「いい人だね」
「口調も穏やかだったそうだよ」
 傲慢ではなくです。
「そんな人だったから」
「平家は身内でまとまって」
「家臣の人達もついて来ていて」
「源氏みたいなことはなかったんだね」
「源氏は結局ね」
 苦い顔で甘い林檎を食べつつ言う先生でした。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ