暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第1節「掴めなかった手」
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本を代表する歌姫で、俺にとってはある一点を除けば自慢の姉だ。
 そして、そんな俺の名前は風鳴翔(かざなりしょう)。私立アイオニアン音楽院、高等部一年。一通りの楽器は演奏できるのが特技で、得意楽器はピアノとバイオリン。あと三味線。三味線だけ和楽器なのは、多分姉さんの影響が強いからだな。
「……お父さん、お姉さんとはまだ……」
「まったく……ホンット、あのバカ親父は……。いや、この話はよそう。飯が不味くなる」
「ごめん……」
「気にするな……」
 実は、俺の父さんと姉さんはある事情から仲が悪い。我が家の複雑な家庭事情が理由なんだが……正直言って、あまり考えたくはない。
 話題を転換しようとして、俺は昨日のニュースを思い出した。
「そういや、昨日もノイズが出たらしい。お前も帰りは気をつけろよ?」
「うん、気をつけるよ。翔の方こそ、気をつけなよ?現場はいつものCDショップの近くだったんでしょ?」
「ああ。いざとなったら、叔父さん直伝の体術で逃げ切ってやるさ」
 〈認定特異災害ノイズ〉。13年前の国連総会にて認定された特異災害の総称。
 人間のみを襲い、炭素の塊へと分解してしまう謎の怪物。ただ人間を襲うのみであり、意思疎通は不可能。
 通常の物理法則を超えた存在で、あらゆる既存兵器が殆ど意味を成さず、有用な攻撃手段は存在しない……と、表向きはそういう事になっている。
 国連総会での災害認定後、 民間の調査会社がリサーチしたところノイズの発生率は、東京都心の人口密度や治安状況、経済事情をベースに考えた場合、 <そこに暮らす住民が、一生涯に通り魔事件に巻き込まれる確率を下回る> ……と試算されたことがあり、一般認識ではそういう事になっている。
 しかしここ最近、ノイズの発生件数は増えているのだ。特に姉妹校である、リディアン音楽院を中心に……。果たしてそれが何を意味するのか──
「うわ、並んでるね」
 気が付けば、既に食堂の前だった。カウンターを見ればかなり並んでいるように見受けられる。
「えーっと、今日の日替わり定食は……おばちゃんの特性トンカツ定食!?」
「しまった!姉貴の新作の事ばっかり頭にあって、メニュー確認を怠ったばかりに……不覚!」
「ま、まだ大丈夫だよ!ほら、並べばまだ間に合うかも!」
 慌てて列の最後尾に並ぶ。幸い、何とかギリギリ確保する事は出来たものの……残った定食は一人分だった。
「翔が取りなよ。僕は別のメニューにするからさ」
「しかし、遅れたのは俺の責任だ……」
「気にする事無いさ。ほら、早く取らないと冷めちゃうよ?」
「ううむ、面目ない……。しかし、それでは俺の気が済まない。トンカツの半分を譲渡しよう」
「じゃあ、さば味噌定食にしようかな」
 それぞれの昼食を受け取り、窓際の席に向かい合って座る
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