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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
王様の頼み事その二
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「おお!! さすがは勇者じゃの!! あの 悪名高いカンダタから王冠を取り返してくるとは!!」
 ロマリアに戻り、城の前まで向かうと、幸い城門が閉ざされていることはなかった。お城の兵に事情を伝えると、早急に玉座の間まで向かうようにとあわただしくも通してくれた。その話は私たちが玉座の間に着くと同時に王様の耳に知らされたようで、王様はとても歓迎してくれた。
「やはりあの英雄オルテガの息子の噂は本当だったんじゃな。それだけの強さがあれば、必ずや魔王バラモスも討ち取ってくれるであろう。礼を言うぞ、勇者よ!!」
 王様がそういうと、ユウリは深々と礼をした。後ろにいた私たちもそれに倣う。
 すると、突然王様が神妙な顔をしてユウリの方を見た。
「……ところでユウリよ、そなた、王様になってみる気はないかのう?」
「……はい?」
 あまりにも突拍子のない言葉に、 ユウリの目が瞬く。
「いや、急な申し出で困惑させてしまっただろうが、わしは本気じゃ。そなたがよければ明日にでも、わしのかわりに王位を譲っても良いぞ」
 王様の目は冗談を言っているようには見えなかった。ユウリはしばらく考え込んだ後、やがて答えを出した。
「……あの、もしその話が本当なら」
 一呼吸の間を置いて、ユウリが慎重な声で尋ねる。
「ぜひその大役を承りたいのですが」
 その一言に、王様の顔がみるみる緩んでいく。
「ほほお!! そうかそうか!! そなたならそういうと思っておったぞ!! ならば早速使いの者に頼んでそなたに似合う服を用意してやろう!! おい、侍女長はおるか!!」
 王様の呼びかけに、奥の 廊下からしずしずと初老の女性が現われた。女性は後ろに若い侍女を数人引き連れて、何も言わずにユウリの傍までやってきた。
「はじめまして、わたくし、侍女長のミライザと申します。これから採寸をさせていただきますので、奥の部屋へどうぞ」
 これにはユウリも若干たじろいだ。だが彼が戸惑う暇も与えず、ミライザさんの後ろにいた侍女たちが半ば強引にユウリを連れ出した。そのあまりにも急な展開に、ユウリもそれに従うしかない。
 すると急にぴたりとミライザの足が止まり、私たちのほうを振り返ってこう言った。
「貴方たちの服もご用意いたしますが?」
「い、いえ結構です!!」
 私たちは即座に断った。私たちまで王様になったらユウリに何を言われるかわからない。
 その後、結局ユウリは王様になる準備やら何やらでお城に泊まることになった。もちろん私たちはその後すぐ宿に戻ることにした。
 シーラなんかはお城にあるお酒が飲みたかったとか後でつぶやいていたけど、私は早くこの疲れた体をベッドに預けたかった。実際部屋に着くと同時に、安堵したからか体の全機能が停止し、そのままベッドに倒れ込んだのは言うまでもない。

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