第五百三十六話 山に行くとその八
[8]前話 [2]次話
「この宇宙がなくなるまでじゃ」
「そうした碌でもないこと続けるんだな」
「殺人とか生態実験とか危険物の製造開発とか」
「わしの趣味、生きがいだからのう」
それ故にというのだ。
「わしは変わらぬ」
「やれやれだな」
「本当に仕方ないね」
二匹もお手上げだった、だが。
一行はそんな話をしつつも赤城山に向かっていた、その中でライゾウもタロも次第に疲れを感じてだった。
それでだ、博士に自分達から言った。
「おいら家猫だからな」
「僕もアスファルトの道を散歩するだけだし」
こう博士に言うのだった。
「山道歩き慣れてないし」
「ここもアスファルトだけれどな」
「それでも慣れてない道だし」
「しかも随分歩いたよ」
「だからね」
「これ以上は難しいな」
「そうか、ではじゃ」
博士は二匹の言葉を聞いてだった。
懐からあるものを出した、それは何かというと。
一枚の絨毯だった、八畳敷き位の大きさのそれを出して話した。
「これに乗るのじゃ」
「絨毯かよ」
「それに乗ればいいんだ」
「空飛ぶ絨毯じゃ」
絨毯は絨毯でもそちらだというのだ。
「これに乗って進もうぞ」
「そういえば博士魔術も知ってたな」
「それで魔法も使えたね」
「だからか」
「魔法の絨毯も持っているんだ」
「ちょっとした旅行で楽をしたいならじゃ」
それならというのだ。
「これがよいからのう」
「それで持ってるんだな」
「そうなんだね」
「そうじゃ、ではこれに乗ってじゃ」
博士は二匹にさらに話した。
「先に進もうぞ」
「じゃあ」
「そうさせてもらうね」
「わしも乗る」
博士は二匹に続いて乗った、そうしてだった。
絨毯を出発させるとそこでだった、博士は。
宙に一メートル程浮かんで進む絨毯の上から同乗する二匹に尋ねた。
「乗り心地はどうじゃ」
「悪くないな」
「というか結構いいね」
「このまま普通に寝そうだな」
「寝たら落ちそうだけれど」
「落ちはせん」
博士はカップに紅茶を入れつつ話した。
「それはない」
「落ちないか?」
「そうなんだ」
「うむ、落ちることはない」
決してというのだ。
「この絨毯からな」
「それも魔法でか」
「魔法で守られているからなんだ」
「そうじゃ」
まさにその為にというのだ。
「だからじゃ」
「安心していいか」
「もうこれで」
「そうじゃ」
それでというのだ。
「安心せい」
「そうか、じゃあな」
「寝るのもいいね」
「寝るのもいいが」
博士は眠そうな顔を見せた二匹にさらに話した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ