第七十二部第四章 気付きだした者達その七
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「そうでしたね」
「ええ、ただね」
「これはあくまで君主制のことで」
「日本でも幼君はあったわ」
「皇室でも」
「ええ、そして二十代の帝も」
「おわれたわ」
明治帝に至っては弱冠十四歳で即位されている、そして明治の象徴であられ続けたのだ。
「今上陛下もお若いわね」
「はい、確かに」
「君主制ならあるわ、けれど」
「共和制で民主政治なら」
「世襲の独裁国家でもないと」
共和制と言っておいてだ、こうした国家も過去あった。
「ないわね」
「そうは」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「それを成し遂げたジャバル主席は」
「それだけで相当な方ですね」
「そう思っていいわ、そしてね」
「そのことに気付かず、ですか」
「マウリアがここまで動くことを察知出来なかったことも」
「迂闊でしたか」
「そう思っているわ、後でモニターで各国首脳会議を行うけれど」
「太平洋諸国の」
「おそらくどの国の方々もね」
太平洋諸国の大統領や首相達もというのだ。
「誰もね」
「まさかとですか」
「思っている筈よ」
「やはりそうですか」
「マウリアについては見ていなかったわ」
「表だけしかですね」
「それが仇になったわ、どうも私達は」
各国政府の者達はというのだ。
「どうしてもね連合の中だけでしかないわね」
「外交についても」
「国益に関することの殆どがあるからこそ」
「どうしてもですね」
「連合のことがね」
「メインであり」
「外のことはね」
「どうしてもですね」
「なおざりよ」
それが現実だというのだ。
「それでもいいとは思っていたわ」
「国益がそこに殆どあるからですね」
「マウリアを見ずとも」
「思い出せば見る位であり」
「それ位でいいと思っていたわ」
伊東にしてもというのだ。
「同盟国であってもね」
「主な外交は中央政府がしていましたし」
連合を代表するこの政府がというのだ。
「それで、ですね」
「いいと思っていたわ」
「そうでしたね、私もまさか」
小柳にしてもだった。
「マウリアがまさかです」
「あそこまで急に動くとは」
「想像もしていませんでした」
全く、というのだ。
「全く以て」
「そうだったのね」
「はい、まことに」
「連合の殆ど誰もがそうだったわね」
「むしろこうしたことを事前に言っていた方は」
「貴女が知る限りでは」
「いなかったです」
小柳も言った。
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