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ほのかに甘くHOLIDAY
第六章

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「二十円で出来るから」
「安いわね」
「それで座ってするのも」
 こちらもだ。
「五十円で出来るから」
「百円じゃなくて」
「五十円なんだ」
「そうなのね」
「安いよね」
「ええ、それでよね」
「やってみる?僕もね」
 彼女に笑顔で言ってその赤い忍者のゲームを見た、そしてだった。
 二人で百貨店の屋上で楽しい時間を過ごした、気付いた時には夕方になっていた。すると彼女は屋上から夕陽を見て提案してきた。
「海の方行く?」
「そっちにだね」
「ええ、最後はね」
 デートのそれのというのだ。
「そっちでね」
「いいね、夕陽を見ながらだね」
「それでね」
「終わりにするんだね」
「そうしない?」
 こう僕に言ってきた。
「どうかしら」
「それじゃあ」
 僕も頷いた、そうしてだった。
 二人で一緒に海の方に行った、すると。
 夕陽で普段は青い海は赤くなっていた、その赤い海の中に銀の波が見える。波音は普段と同じだった。
 その海を観ながら彼女は僕に言ってきた。
「今日はね」
「ここにだね」
「最後は来たかったの」
「それでなんだ」
「そう、案内させてもらったけれど」
「奇麗だね」
 月並みな言葉だった、自分で言って陳腐だと内心苦笑いした。
「これは」
「ロマンティックよね」
「うん、何かね」
「何か?」
「デートの終わりの場所にはね」
 それにはだった。
「相応しいね」
「そうでしょ、じゃあね」
「今からだね」
「このお空を見て」
 そしてというのだ。
「終わりましょう、ただね」
「ただ?」
「終わりだから」
 デートのとだ、彼女は少し俯いて恥ずかしそうに言ってきた。。
「思い出に何かしない?」
「何かって」
「そう言うとね」
 夕陽の中でもわかった、彼女の顔が赤くなっていた。
「ちょっと」
「それは」
 そして僕もだった、自分でだ。
 顔が赤くなっているのがわかった、ここで次の言葉を探したけれどなかった。
 それでどう言っていいかわからなかったけれど。
 そっと僕から手を差し出した、すると。
 彼女も手を出してくれて握り合って手を絡め合った、そうしてから僕は言った。
「今はね」
「ええ、はじめてだしね」
「はじめてのデートだから」
 それでと言うのだった。
「これでいいよね」
「そうね、それじゃあね」
「これでね」
「今日は終わりね」
「そうしようね、このまま駅まで帰ろうか」
「そうしましょう」
 今度はお互いに言葉が出た、けれど。
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