第五十五話 おぢばのバレンタインその九
[8]前話 [2]次話
「来られたんですね」
「今ね、ただね」
「ただ?」
「今困ってるのよ」
「チョコレートのことですか?」
「わかるのね、実はね」
このことを実際に阿波野君に言いました。
「チョコレート買ったけれど」
「誰にあげるかですか」
「困ってるのよ」
「そうですよね」
「そうですよねって予想していたの?」
「そうでもないですけれど」
「いや、予想してたって気がするけれど」
どうにもです。
「私の気のせい?」
「気のせいですよ、けれどチョコレート誰にもあげる予定ないんですね」
「実はそこまで深く考えてなかったし」
何かバレンタインとは思えない本末転倒と言えばそうした状況になっていますが実際にそうなっています。
「はっきりと誰にあげるかは」
「そうですか」
「本当にどうしようかしら」
「それじゃあね」
ここでまた白石さんが笑顔で言ってきました。
「もう阿波野君にあげたら?」
「この子にですか?」
「誰にもあげないんだよね」
事務所の中から言ってきます。
「それじゃあ自分で食べるしかないけれど」
「それも何だか、ですよね」
「うん、だからね」
「じゃあ」
「ホワイトデーのお返し何がいいですか?」
阿波野君も阿波野君で言ってきます。
「先輩卒業されてますけれど」
「その時は一旦神戸に戻ってるわ」
その予定です、一旦神戸に戻って詰所に入る用意をしてそれから詰所に移って住む予定になっています。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ