第五百三十五話 焼き肉食べ放題その六
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「今は酒池肉林の宴なんて」
「楽だな」
「本当にね」
「そうだよな」
「そう、そして」
野上君はさらに話した。
「明日は二日酔いで起きるね」
「もうそれ込みだな」
「部屋には帰らないで」
「留守番頼まれてるんだったな」
「博士にね、だから」
野上君は友人にこのことも話した。
「今日はそっちにだよ」
「研究室に帰ってか」
「寝るよ」
「そうするか」
「こっちにはお風呂入ってきたし」
それでというのだ。
「今日は帰ったら歯を磨いて寝るよ」
「そうして明日はか」
「二日酔いで起きて」
「身体動かしてか」
「お風呂に入って」
そうしてとだ、野上君はさらに話した。
「一日をはじめるよ」
「最悪の朝が最高の朝になりそうだな」
「そうだね、二日酔いで起きたら」
「もう頭は痛くて身体は悪くて」
「汗ばんでいてね」
「あの最悪さはな」
二日酔いのそれはとだ、友人は笑って話した。
「それでもな」
「お酒は止められないね」
「二日酔いになろうとも」
「それ込みで飲むからね」
「二日酔いが嫌なら」
それならというのだ。
「もうな」
「飲むなってなるね」
「僕はそう思うよ」
野上君に焼酎を飲みつつ話した。
「そこまでいったら」
「そうだよね、僕もだよ」
「野上君もだな」
「その考えだよ、あと僕の仇名は」
「ずっと野上君だな」
「何でかそうなってるんだよね」
「それな」
友人は牛タンを焼きつつ野上君に応えた。
「どうしてもな」
「呼びやすいからだよね」
「野上君の下の名前馴染みにくいんだよ」
「団十郎が?」
「団十郎っていったらあれだろ」
野上君の下の名前についてだ、友人は話した。
「歌舞伎のな」
「市川團十郎さんだね」
「本当は團十郎って書くか」
「うん、そうらしいね」
「難しい漢字の方か」
「うん、ただ普通は」
多くの人が日常的に使う感じはというと。
「団十郎だね」
「そうだったんだな、とにかく団十郎って名前がな」
「これがなんだ」
「どうにも物々しくてな」
「歌舞伎役者みたいで」
「それで皆そっちでは言わないんだよ」
野上君の下の名前ではというのだ。
「どうにもな」
「そうなんだね」
「まあ諱じゃないからな」
「諱は今はないよ」
「姓と名前だけだな」
「うん、まあそれは置いておいて」
諱のことはというのだ、尚諱は誰も呼ばず文章でも書かないことが習わしになっていた。だから徳川家康にしても家康とは誰からも呼ばれず官職でよく呼ばれていた。
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