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八条学園騒動記
第五百三十四話 宇宙の旅その十二

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「どうしてもな」
「僕もだよ」
 タロは自分の場にちょこんと座ったまま答えた。
「死ぬことについては」
「誰でもそうじゃな」
「不老不死になれるなら」
 それこそというのだ。
「こんないいことはないよ」
「ラドンみたいにじゃな」
「ラドンは不死身なんだよね」
「神話ではそうじゃ」
 だからヘラクレスも今回は無理ではないかと思ったのだ、それで知恵を使って林檎を手に入れたのだ。
「ヘラクレスが倒したという話もあるがの」
「不死身でもだね」
「そこは矛盾するが」 
 それでもというのだ。
「そうした話もじゃ」
「あるんだね」
「そうなのじゃよ」
「矛盾してるね」
 不死身なのに倒されたということについてだ、タロはどういうことかと首を傾げさせたうえで述べた。
「そこは」
「神話ではままにしてある」
「物語によって違うからかな」
「だから統一性は時としてな」
「ないんだね」
「一人の人間が書いている訳ではないのじゃ」
 神話というものはそうだというのだ。
「だから不死身となっていてもな」
「ある人の書いたものではそうでもか」
「他の人の書いたものでは違っていたりするんだね」
「そうじゃ、しかし基本な」
 ラドン、この怪物とされたり神と呼ぶべきともされる存在はというのだ。
「不死身なのじゃ」
「神様でか」
「死ぬことも恐れないんだね」
「ラドンはな、まあわしもな」
 他ならぬ博士自身もというのだ。
「死ぬことはない」
「博士人間じゃないしな」
「だから二百億年生きてるしね」
「文字通りの不老不死」
「そうだよね」
「そうじゃ、それでハーデス等に話を戻すが」
 冥界を司る神々はというのだ。
「二匹も言ったが」
「誰でも死ぬのは怖いからか」
「そこにいる神様を悪いものだって思うんだね」
「それこそ無意識で」
「そうなるからだね」
「悪神と思うがハーデスも悪神でなく」
 博士はさらに話した。
「閻魔等十王もそうじゃ」
「ああ、道教のな」
「中国のあの宗教でもだね」
「閻魔大王とか冥界の十人の裁判官も」
「仏教でも出て来るけれど」
「神と呼ぶべきか仏と呼ぶべきか迷うが」
 道教でも仏教でもそうなっているがというのだ、尚この時代の仏教では閻魔だけでなく他の十王も冥界の裁判官になっている。
「まあどっちにしても悪い存在ではない」
「悪人を裁いて地獄に落とすならな」
「いい神様だよね」
 二匹もこのことはわかった。
「博士みたいに勝手に虐殺しないから」
「ちゃんと裁判してるからな」
「そう思うとな」
「正しい神様だね」
「だが人は誰でも罪を犯す」
 博士はこのことについても指摘した。
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