第五百三十四話 宇宙の旅その十一
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「ラドンもじゃ」
「神様か」
「それも純血の」
「神様と神様の間に生まれた」
「正真正銘のそうした存在なんだね」
「半分や三分の二が神ではない」
ジークフリートやギルガメスの様な英雄と違ってというのだ。
「ラドンは完全なじゃ」
「神様ってことか」
「もう正真正銘の」
「そうじゃ、だから不死身でな」
それでというのだ。
「ヘスペリアの乙女達と共に林檎も護っておるのじゃ」
「怪物であってもか」
「神様でもあるから」
「そうじゃ、あとケルベロスじゃが」
博士はギリシア神話の冥界の番犬の話もした。
「ラドンの兄弟じゃな」
「ああ、テューポーンとエキドナの間に生まれた」
「こっちもだったね」
「それじゃあか」
「ケルベロスもだね」
「純血の神じゃ」
神と神の間に生まれたというのだ。
「こちらもな」
「怪物に思ってもか」
「実はなんだね」
「そういえばケルベロスって悪いことしてねえな」
「冥界の入り口を護っているだけで」
二匹はこのことにも気付いた。
「外見は怖いけれど」
「三つ首で鬣や尻尾が蛇になってる犬だけれどな」
「人は襲わないし」
「強くてもな」
「うむ、実はケルベロスは悪い存在ではない」
博士はこのことも話した。
「冥府の神ハーデスの愛犬なのじゃ」
「その実はか」
「そうなんだね」
「そうじゃ」
このことからもというのだ。
「悪い存在ではないのがわかるな」
「ハーデス神って悪神じゃないからな」
「冥界を治めてるだけで」
「暗くて悪いイメージあっても」
「それでも」
「死ぬのは誰でも怖い」
博士自身は不老不死だがこのことについても言及した。
「だからじゃ」
「ハーデス神は恐れらえてるか」
「その死に関わってるから」
「そうじゃ、しかしな」
「その実はか」
「違うんだね」
「そういうことじゃ」
こう二匹に話した。
「だからじゃ」
「本当は悪い神様でないけれどな」
「悪く思われるんだね」
「冥界の神様っていうだけで」
「それだけで」
「そうじゃ、そこはじゃ」
どうしてもというのだ。
「死ぬことへの無意識から来る恐怖故じゃ」
「おいら達だって死ぬの怖いぜ」
ライゾウも博士にこう言った。
「どうしてもな」
「そうじゃな」
「博士の手術で喋られる様になってな」
右の前足を人間の手の様に動かしつつ話した。
「寿命だってな」
「延ばしたのじゃ」
「そうだよな、けれどな」
「長生きしてもじゃな」
「死ぬのは怖いぜ」
このこと自体はというのだ。
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