第七十二部第三章 ジャバルという男その二十一
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「しかも前回以上に巧妙に」
「していきますか」
「前回は発見されてです」
「戦争に至ったので」
「二度とそうしたことない様にです」
そこまで考えてだ、エウロパにとってはエウロパ戦役は痛いダメージを被った戦いだった、だからそれを可能な限り避けるというのだ。
「巧妙に」
「足跡を消す」
「ダブルスパイ等も考えていますし」
軍人はさらに話した。
「マウリア人をスパイに仕立てる」
「連合に出入りする」
「はい、そうしたこともです」
「そうですか、そうしたやり方もですか」
「考えています」
実際にというのだ。
「そうしています」
「わかりました、それもです」
「閣下としては」
「いいと思います」
サントスは軍人に微笑んで話した。
「それで」
「左様ですか」
「それが軍部の考えです」
「そして私はですね」
「許可を出して頂く」
マウリアにおけるエウロパ政府の最高責任者である大使だからだ、サントスはその行動を採択する権限も備えているのだ。
「現地の責任者として」
「総統と共に」
「そうなります」
「そうですね、では私の考えですが」
サントスは軍人の言葉を聞いたうえで彼に述べた。
「よしです」
「左様ですか」
「はい、お任せします」
「それでは」
「この件に関しては総統と同じ考えです」
こうも言うのだった。
「私も」
「そうなのですか」
「はい、ただ」
「ただとは」
「若し総統閣下のお考えがどうかと思えば」
「その時はですか」
「反対することもあります」
国家元首である彼の考えもというのだ。
「それも」
「左様ですか」
「現場の責任者として」
マウリアのその立ち場の者としてというのだ。
「そうします」
「閣下は総統と同じ政党ですね」
「はい」
「そしてあの方の知己と聞いていますが」
「その通りです」
まさにという返事だった。
「二十年来の」
「そうですか」
「しかしです」
それでもというのだった。
「あの方はご自身のお考えと違うものを言われてもです」
「怒られることはない」
「そうした方です」
「だからですか」
「はい、ですから」
「謹言もですか」
「します」
必要とあればというのだ。
「そうします」
「はい、そうします」
「わかりました、そういえば」
ここで軍人も言うのだった。
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