第七十二部第三章 ジャバルという男その十七
[8]前話 [2]次話
「そうでした、しかし」
「野心家はですね」
「また違うのですね」
「どうにも」
「そうなのですね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「あの人の目も見たいです、若しや」
「若しや?」
「若しやといいますと」
「マウリアの主席を目指しているのなら」
それならばというのだ。
「やはりです」
「その目はですね」
「さらに上を求める野心家ですね」
「そうなのですね」
「そうです、それが目に出ている筈です」
必ずというのだ。
「若しそうならパイプを築いておけば」
「後々ですね」
「エウロパの益になりますね」
「そうです、ただエウロパを利用するつもりなら」
そのジャバルがとだ、サントスもこうした考えだった。外交官として連合の彼等と同じ考えを持っているのだ。
「エウロパの益になるなら乗りますが」
「そうでないならばですね」
「乗らない」
「そうしていきますね」
「そこは警戒をして」
「そうです、お会いして見極めます」
何としてもというのだ。
「連合より先に」
「出来れば妨害しますか」
「あの国の動きを」
「そうしていきますか」
「はい、常に思いますが」
連合についてはだ。
「我々にとって邪魔です」
「このマウリアにおいても」
「まさにそうですね」
「何かと衝突がありますが」
「このマウリアでの外交においても」
「実に鬱陶しい存在ですね」
「ジャバル主席への調査、接触を第一にしますが」
それでもというのだ。
「余裕があればです」
「その時はですね」
「連合の妨害をする」
「そうしていきますか」
「はい、最近はです」
ここでだ、サントスは自身の隣に控えるエウロパ軍の軍服を着た端整な顔立ちの男を見てそのうえでまた言った。
「この方々も多くおられます」
「工作のことはお任せ下さい」
軍人もこうサントスに答える。
「その為に来ていますから」
「そうですね」
「このマウリアを拠点としてです」
軍人はさらに言った。
「やがてはです」
「連合本土への工作もですね」
「行うつもりですから」
だからだというのだ。
「マウリア本土においてもです」
「工作をですね」
「行わせて頂きます」
「そうですか」
「閣下のご命令があれば」
大使であるサントスのだ、大使は閣僚や将官と同じく閣下と呼ばれる。それだけの地位にあるということだ。
「その時は」
「ではです」
「今ここで、ですか」
「前に来て下さい」
自身の前にとだ、サントスは軍人に述べた。軍人もそれに応えてサントスの正面に来た、そこまでしてだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ