第六十一話 終戦直後は
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第六十一話 終戦直後は
これは大阪で本当にいた人のお話です。
戦争から帰ったその人は戦場でヒロポンをやってその後遺症もあって傷痍軍人になっていました、その年金で細々と暮らしていましたが。
免許がなくても河豚を自分で買って自分で調理していました、大阪はその人を見て心配そうに言いました。
「あの、河豚は」
「大丈夫です、河豚は知ってますから」
その人は大阪に笑ってお話しました。
「それに食べるのはわし一人ですから」
「何があってもですか」
「何の心配もいりません」
「けどあたったら」
「わしはもう廃人ですから」
やっぱり笑って言うのでした。
「そうですさかい」
「戦争でのことで」
「結婚もしませんし」
このこともあってというのです。
「死んでも誰も悲しみませんし」
「それでご自身で河豚調理して」
「楽しんでますわ」
「そうでっか」
終戦直後はこうした人もいました、お亡くなりになったのは昭和五十年位のことだったといいます。
第六十一話 完
2019・10・12
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