第五百三十四話 宇宙の旅その二
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「美味いのじゃよ」
「そうなんだな」
「白とか淡い色だと魚介類か」
そちらだというのだ。
「合うのはな、あとフランス料理の店で牡蠣を食うからと日本酒を持ち込んだ新聞記者がおったが」
「そいつ馬鹿だろ」
ライゾウは一言で言った。
「それは」
「そう思うな」
「無作法だろ」
ライゾウは軽蔑を込めてこうも言った。
「その店のメニューにないだろ」
「それがじゃ」
「持ち込んだんだな」
「生牡蠣にはこれだって言ってのう」
「それで飲んでたんだな」
「そうなのじゃ」
「無作法にも程があるだろ」
猫であるライゾウから見てもだった、このことは。
「本当に」
「それがじゃ」
「その新聞記者そうしてか」
「堂々とそれを記事に書いたのじゃ」
「よくそんなの書けたな」
それで記事に載せられたというのだ。
「凄いな」
「勿論ネットでは大炎上じゃ」
そうなったとだ、博士はライゾウに話した。
「店のメニューにあるもの食って飲めとな」
「そうだよな」
「尚この記者はマナーには五月蠅い」
「他人にはかよ」
「そうなのじゃ」
「自分に甘く他人に厳しいんだな」
「それがマスコミというものであろう」
博士は平然としてライゾウに答えた。
「自分達はやりたい放題でもじゃ」
「相手には厳しいんだな」
「その体質は昔から変わらん」
「昔って何時からかな」
このことはタロが尋ねた。
「一体」
「二十世紀からじゃ」
「千四百年位前?」
「それ位からな」
まさにこの頃からだとだ、博士は答えた。
「同じじゃ」
「千数百年も進歩がないんだね」
「マスコミに進歩や学習といったものはない」
博士はきっぱりと言い切った。
「反省も何もな」
「何をしても反省しないんだ」
「一切な」
「だからなんだ」
「うむ、全く変わっておらん」
千数百年前からだというのだ。
「この上なく傲慢でな」
「ああ、いつもふんぞり返ってるのはね」
「君もわかっておるじゃろ」
「新聞記者もテレビ記者も」
「そうじゃ、自分達より偉い者はおらんと思ってな」
「それでふんぞり返ってて」
「一切進歩せんのがな」
そうした者達がというのだ。
「マスコミでな」
「それでだね」
「そうしたことをするのじゃ」
「お店にメニューにないものを持ち込んで」
「兵器で飲み食いするのじゃ」
「酷い無作法もするんだね」
「自分が美味いからと言ってな」
タロに赤ワインを飲みつつ話した。
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