暁 〜小説投稿サイト〜
ヘタリア学園
第二百四十三話  少しずつ

[8]前話 [2]次話
第二百四十三話  少しずつ
 王様はワーグナーのことばかり考えて。遂にはこんなことを言い出してきました。
「お城だ」
「お城!?」
「そう、お城を建築するんだ」
 こうドイツに対して命じるのでした。
「白鳥の城を。あちこちに一杯建築するんだ」
「あの、陛下それは」
 ドイツはその王様に対して戸惑いながら述べます。もうお城の時代ではないのです。そんなものを建築しても全くの無駄だからです。お金も凄くかかります。唯でさえ王様はワーグナーのことでお金を随分と使っているというのにです。周りにとってもドイツにとってもとんでもないことです。止めるのも当然です。
「御言葉ですがあまりにも無意味ではないかと」
「いや、無意味じゃない」
 けれど王様はドイツの言葉を聞き入れませんでした。
「ワーグナーの世界をお城にするんだ。だからいいんだ」
「ワーグナーの」
「そう、そして僕はそこに住むんだ」 
 またしてもとんでもないことを言います。
「一人でね。だから建築して欲しい」
「一人で・・・・・・」
 王様がそんなことをできる筈がありません。ドイツにとっても皆にとってもとんでもないことです。けれど王様は頑として聞き入れないのでした。
「最近僕とワーグナーのことに皆あまりにも冷たい」
 一人呟くのでした。
「いいじゃないか。僕だって人間なんだ、もう一人でいたいんだ」
 それが王様の願いでした、けれどこれが適うことはなく。王様はどんどん孤独を愛するようになりました。もう周りの人達とも会おうとはしなくなってきていました。


第二百四十三話   完


                         2008・6・27

[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ