第四十七話「天央祭・[」
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突如発生した突風に襲われた士道であったが幸いにも吹き飛ばされるような事も無く士道は突風を起こした者達へと顔を向ける。
「くく、愚かな。我らが姉上様に楯突こうとは、総身に知恵が回りかねておると見える」
「肯定。短慮且つ無謀な行動です。お姉さまには指一本触れさせません」
そう言ったのは士道と同じくメイド服に身を包んだ二人の少女。同じ顔立ちから双子と思われた。
「今度は【ベルセルク】か。意外と五河士道に霊力を封印されていた精霊は多いみたいだな」
「耶?矢と弓弦まで…」
士道は【ベルセルク】、八舞耶?矢と八舞弓弦の行動に呟く。一方で彼女は自身も含めて十二人の精霊の内三人の霊力を封印していると言う事に感心する。聞かされた当初は不可能だろうと感じていたが案外できる者だなと考えていた。
「(尤も、美九を攻略するのに女装等と言うだますような行動を取った時点でこうなる可能性は高かったけどね)」
「ふ…ふふ、あははは…っ!なぁに、これ」
と、美九の笑い声が聞こえてくる。
「人が悪いじゃないですかぁ、士織さん。会場に精霊がこんなにいるなんて!しかも皆私好みの子たちばかり!ああ…良いです。最高です!」
美九は可笑しくてしょうがないと言った様子で身を捩っている。恐らく思わぬ収穫に恍惚としているのであろう。美九の解けたような表情が彼女のいる観客席からも見える。
「さぁ…こうなったら、いよいよあなたに用はなくなっちゃいました。さっさと始末して、精霊さんたちと遊ぶことにします。…さぁ!やっちゃってください!」
そう言うと美九は光の鍵盤を強くたたく。すると、四糸乃や八舞姉妹は敵意の籠った瞳で士道に向ける。霊力を封印されているとは言え精霊である彼女たちと戦えば士道と言えど一溜りもないだろう。更に美九の親族である彼女も美九につくと思われた。ナイトメアと並ぶ危険度を持つ彼女が参加すれば士道では一瞬で肉塊へと変貌する未来が見えた。
そして、事態はさらに悪化する。士道の後方からゆらりと影が近づく。現れたのは同じく精霊である十香。同じく霊装を纏った状態でゆっくりと前に出てきた。
「ま、まさか十香まで…嘘だろ?やめ…」
しかし、この場で士道の言葉に耳を貸す者など皆無。四糸乃が冷気を、八舞姉妹が風圧の塊を士道へと放った。
「う、うわぁぁぁっ!」
士道は自らに襲い来るであろう衝撃と痛みを想像し目を瞑る。しかし、士道を襲ったのは冷気でも風圧でもなくふわりと言う奇妙な浮遊感であった。
「…え?」
士道は間の抜けた声を出す。流石にこの状態、敵になったと思われた十香にお姫様抱っこをされていると言うのは士道と言えど意味が分からなかった。
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