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星河の覇皇
第七十二部第三章 ジャバルという男その八

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「金銭もか」
「おそらくは」
「希薄か」
「どうも家の資産を惜しみなく使い」
「政治資金にだな」
「選挙に当選し他の用途にも使っています」
「そうしたものを見ればか」
 金銭欲、それもというのだ。
「希薄です」
「生活は質素か」
「かなりかと」 
 今現在わかっている限りではだ。
「やはり」
「そうか、では余計にな」
「警戒していきますか」
「連合を利用するにしても」
「それが連合にとって害になるのなら」
「そうした利用はされない」
「利用されてもだ」
 例えだ、相手の意図に乗ってもというのだ。
「それでもだ」
「それが利益になるのならですね」
「連合のな、それならいい」
「こちらもマウリアを利用する」
「だからだ」
「お互い様ですね」
「利用し利用される」
 領事はここでは冷徹な声で述べた。
「それが政治だな」
「はい、確かに」
「だからだ」
「それはですね」
「いい、利用されても益になるのならな」
 連合にというのだ。
「乗る、しかしだ」
「それが連合に害になるのなら」
「乗らない」
 その場合はというのだ。
「何があろうともな」
「そういうことですね」
「利用されるにも見返りが必要だ」
 連合にとってというのだ。
「ただ利用されるだけでも駄目だしだ」
「ましてやそれが害になるのなら」
「誰が乗るものか」
 まさに決してというのだ。
「だからだ」
「ここはですね」
「何があってもだ」
「注意して」
「警戒していこう」
「まずは彼のことを徹底的に調べますので」
 外交官も答えた。
「そのうえで」
「うむ、それでだが」
「それでとは」
「アウトカースト層の総生産だが」
 今度は国力の話になった。
「相当にだな」
「はい、一千億の規模に相応しい」
「かなりのものだな」
「そうです、エウロパの総生産にも匹敵する」
「そこまでか」
「むしろエウロパ以上かも知れません」
 外交官は己の言葉を訂正して述べた。
「そこまで、です」
「あるのか」
「彼等の生活も決して貧しくはありません」
「独自の宇宙船や港湾施設、惑星内での移動手段もだな」
「持っていまして」
「パソコンやテレビもだな」
「電気等を利用する技術も電気を生産することも」 
 そうしたこともというのだ。
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