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夢幻水滸伝
第百八話 低い山なれどその四
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「だからだ」
「痛風は、ですね」
「この世界では起きている世界以上にある」
「痛風ってそんなに怖いんですか」
 獅子人の小柄な少年だ、着ている服は膝までの青がかったズボンと黒いシャツだ。獅子の鬣が見事だ。人賊星トマス=ジオンゴだ。ケニア出身で職業は野生児持っている神具は成長し続ける生物スライムで緑の枝豆の様なゼリー状の身体に目鼻があって主の傍にいる。
「よく聞きますけれど」
「私はなったことはないが」
 吉川はジオンゴにも答えた。
「話を聞く限りな」
「そうなんですか」
「足の親指の付け根が万力で締め付けられた様に痛む」
「足の親指が」
「そして風が吹いただけで身体が痛む」
「そうですか」
「だから非常に辛いとのことだ」
 こうジオンゴに話した。
「罹るとな」
「そうですか」
「だから食生活に気をつけ」
 そしてと言うのだった。
「ビールもな」
「飲み過ぎにはですか」
「気をつけることだ」
「そうですか」
「若しだ」
 吉川はここでこう言った。
「ネロ=ウルフの様に飲んでいるとな」
「あの探偵ですか」
 大柄なゾンビの男が言ってきた、ゾンビだが逞しいズールー族の様な身体で上半身は薄い生地のシャツでズボンは迷彩模様のものだ。人威星アニエル=ママニだ。ニジェール出身で職業は戦士であり持っている神具はキング=ソロモンの棍棒だ。
「安楽椅子型の」
「そうだ、美食家で洋ラン好きのな」
「日本に来てから読みました」
 ママニは吉川に生真面目な顔で答えた、肌は黒く人間の黒人の顔だ。身長は二メートルを超えている。
「随分と変わった人ですね」
「個性派だな」
「助手をこき使いそれでいて憎めない」
「そうだ、そしてビールをな」
「毎日相当飲んでいますね」
「一日六・八リットル程な」
「それだけ飲むと」
 これまた大柄な男だった、見れば岩人で顔は人間のものでも身体も髪の毛も岩石だ。人理星アマドゥ=ヘッドである、ボツワナ出身で職業は建築士持っている神具はあらゆる用途に使える万能ナイフであるオロルンのナイフだ。
「流石に」
「痛風になるな」
「もうそうなることは」
 それこそとだ、ヘッドも述べた。
「誰がどう見ても」
「だからだ、ネロ=ウルフはな」
「痛風でしたか」
「そうだった筈だ」
 これが吉川の見立てだ、ネロ=ウルフの世界では推理となる。
「間違いなくな」
「毎日それだけビールを飲んでいると」
「しかも美食家だな」
「フォアグラ等を好む」
「そうであればな」
「痛風だった可能性は高いですか」
「しかもマンションから出ない安楽椅子型の探偵だ」
 このこともあるというのだ、つまり運動不足だ。
「肥満している設定だしな」
「ではやはり」
「ネロ=ウルフは痛風だった筈
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