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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》
第一部
第四章 異能バトル
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フォクシーが消えてから話し合った結果、今日は情報の共有だけして明日に備えようということになった。
「異能も無限じゃないからね。体力と同じで使えば減るし、回復に時間がかかる」

「明日は学校は休みですが出発の前に一度部室に集まりましょう。全員の準備が整い次第向かいます」
「はい!」
「分かりました!」
「りょうかい」
とりあえず方針は決まった。

とそこで鳩子が
「じゃあ、じゅーくんにも今日のこと伝えますね」
電話をかけようとした時、その手を彩弓さんが止めた。

「……今回、安藤くんにこの事は伝えないようにしましょう」
文芸部三人が止まった。
「え? なんで?」
「鳩子さん、安藤くんが連絡をしてこない理由を考えてみて下さい」
「それは、訓練で忙しいからじゃ……」
「それもあるでしょうが、にしてもこの状況で連絡を取らないことにリスクしかないのは彼も分かっているはずです」
「……」
彩弓さんは鎮痛な面持ちで続けた。

「おそらくはまだ安藤くんの異能は戦える段階まで至っておらず、合わせる顔がないのでしょう。だから連絡を取れない」
彩弓さんの言いたいことがようやく掴めた。

「今ここで彼に連絡を取れば彼は来て戦わざるを得なくなります。あまり言いたくはありませんが……戦えない彼を連れて行っても……」
彩弓さんは顔を伏せた。

彩弓さんだってこんなこと言いたくないはずだ。
安藤を連れていけば、標的となるだろう安藤を守りながら戦うことになる。
それは男の子にはあまりにも酷だ。

「でも、みんなで戦うって……」
「……では鳩子さんは安藤くんがもう一度、この前のように傷ついてもいいと?」
「っ!」

「鳩子の気持ちも分かるよ。でも安藤はもうひとり戦ってくれたじゃない」
「そうです。安藤くんのおかげで信頼できる先輩に会い、異能を知り、今日まで準備出来たのですから。充分過ぎるほどです」
「今度は千冬達が、安藤を守る番」
「……うん、分かりました」
みんなの意見が一致した。

「大事な戦いに男の子ひとり除け者にされるのもきついと思うけどね」
「後で怒られたらみんなで謝りましょう。それに先に抜け駆けしたのは安藤くんですから」
「弱者(アンドー)を守るのは強者(千冬)のせきむ」
「千冬ちゃん、それじゅーくんに言ったらダメだよ? 立ち直れなくなるからね?」

そういう経緯で今回は安藤抜きでの戦いになった。


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