第五百三十二話 有り得ない政府その五
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「いいですね」
「ああして甲羅干しをしているのを見ますと」
マリアは目を細めさせてトラップに言った。
「まさに日本と」
「その様にですね」
「思えます」
「日本の庭園ですね」
「左右対称ではないですが」
多くの国では庭園はそうなっている、中国や欧州でそうだ。こうした国々は左右対称を意識して造るのだ。
「自然を重んじて」
「その自然を人工で生み出す」
「それが日本の庭園ですね」
「はい、一見無造作にお池や植物や石を置いていますが」
「その実はですね」
「全てが計算されていて」
そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「調和があるのですね」
「そしてお池にはです」
「鯉や亀がいて」
「それも人工ですが」
「それでいて自然ですね」
マリアはトラップに応えた。
「まさに」
「はい、それこそがです」
「日本の庭園で」
「こうしたものです」
「そしてその中で亀達を見ますと」
マリアは自然に微笑んで述べた。
「まさにです」
「日本のお庭とですね」
「思います」
この様にというのだ。
「自然と」
「そう言われますと」
「トラップさんもですね」
「前からそう思っていましたが」
それでもというのだ。
「今のお話で再認識しました」
「そうでしたか」
「日本の庭園は各地にありますね」
連合全土には、日本文化は連合各国の中でも人気のある文化でそれを取り入れている人も連合全土にいるのだ。
「そしてその中で、です」
「こうしてですね」
「完璧なまでの再現は少ないですが」
「それを見られると」
「私も嬉しいです、特に」
「特にとは」
「これですね」
石と竹を見た、それを見ての言葉だ。
「竹が水を受けて落ちて」
「これですと石に当たりますね」
「それを見るのが」
これがというのだ。
「本当にです」
「嬉しいのですか」
「お池に木、お花に石があり」
「錦鯉に亀達に」
「そこに竹と石もあれば」
竹が水を受けて落ちた、そして石に当たりカポーンという音が鳴った。
「余計にです」
「いいのですね」
「はい、そう思います」
「そういえば」
ここでだ、マリアは。
その竹と石の傍に蛙と蝸牛がいてアジサイの花が紫や青の色を見せていた、そうしたものを見てこんなことを言った。
「自然がです」
「人工のものとはいえですね」
「ありますね」
「他の国のお庭がどうしても人工が強く」
人の手によるものと強く感じさせるというのだ。
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