暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第七十二部第二章 アウトカースト政府その十八

[8]前話 [2]次話
「そこまでは至っていないね」
「小さな隔離された村でも」
「ある程度血の幅があるからかな」
「そのせいかも知れないですね」
「それなりに離れていればいいかな」
「そうかも知れないですね」
「成程ね」
 大使は考える顔になって述べた。
「だからマウリアはいいんだね」
「同じカースト同士の婚姻しかなくとも」
「それでね」
「そういうことですか、そして大使」
 大使館員はあらためてだ、大使に話した。その話はというのだ。
「ジャバル主席ですが」
「その彼だね」
「アウトカーストの中でも資産はありますが」
「身分としてはだね」
「あまり高い方ではないですね」
「アウトカーストの中にも階級があることは聞いていたけれど」
 それでもという顔でだ、大使は言った。
「それでもね」
「はい、どうにもですね」
「不思議なものだね」
「被差別階級の中でも階級がある」
「妙は話だよ」
「俗にハリジャンといいましても」
 ガンジーが使った言葉をだ、大使館員も出した。
「しかしです」
「それでもだね」
「その中は一枚岩ではないですね」
「まだ江戸時代の日本の方がわかりやすいか」
「穢多、非人だけの」
「まだその方がね」
 俗に士農工商というがこの四つの身分特に下の三つの階級は極めて流動的であった。江戸時代の日本は職業も居住も固定させていなかったからだ。
 だからだ。農民が職人や商人にもなれたしその逆もあった。この三つの階級から士分即ち武士に取り立てられた者も多い。
「わかりやすいね」
「そうですね」
「まだね」
「しかしマウリアは」
「アウトカーストも複雑だね」
「様々な階級があります」 
 その差別階級の中でもだ。
「実に」
「そしてその中の決して高くない階級から」
「ジャバス主席が出ています」
「僅か二十代で国家主席までなった」
「資金はあろうとも」
 それでもというのだ。
「それでも」
「二十代で一国の代表です」
「並大抵のことではないね」
「これまで殆ど例がありません」
「君主ならともかく」
 世襲制の君主ならば時折あることだ、これは先の国家元首が倒れたり譲位されたりしてのことである。
「共和制でそれはね」
「ないですね」
「まずね」
「そうです、クーデターで政権を取るにしましても」
「二十代はないね」
「やはり、ましてや選挙を経てはです」
 ジャバルの様にだ。
「まずないです」
「その通りだね」
「しかしそれが出来たということにです」
「あの主席殿の凄さがあるね」
「そう思います、そして政府自体も」 
 アウトカースト層のそれもだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ