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お嬢様の旅
第二章
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 黄は二人を連れてその依頼を受けた、そのうえで台北の駅前をはじめとした台湾全土で大きな本屋を幾つも経営している袁家の屋敷に入った。
 屋敷は台北郊外にあり中華風の見事なものだった、二人はその中で鬼族の袁家のご令嬢と会った。袁家の種族は鬼なのだ。
 頭に角が生えており背は一六〇位で胸が大きい少女だった、切れ長の黒い瞳とやはり黒のロングヘアに白い肌と紅の唇を持っている美少女だ。着ている白いドレスが育ちのよさを見せている。名前を袁桜花といった。
 令嬢は三人が屋敷に来ると笑顔で出迎えて旅の話をした。
「台湾を一周しますが。船や鉄道だけでなく」
「歩いても」
「はい、そうした時もあって私の警護に」
 それにとだ。
「お母様が冒険者の方をとです」
「そうですか」
「はい、それでこの度です」
「僕ちん達にですね」
「お願いします」
 旅の間の自分の警護をというのだ。
「旅の間の」
「わかりました」
「あとは爺やも一緒です」
 見れば後ろに品のいい顔立ちのサイクロプスの初老の男がいる、タキシードの着こなしも見事である。
「五人で、です」
「台湾をですね」
「丁度今は夏休み、学校もありませんし」
 それでというのだ。
「旅に行きましょう」
「それでは。僕ちんはメイドでもありますし」
「お世話もですね」
「やらせて頂きます」
 黄は雇われたメイドとして令嬢に応えた、そうしてだった。
 彼女と共に台湾を一周する旅に出た、だがすぐにだった。
 資産家の令嬢である彼女を身代金目当てで攫おうとするならず者達が宿泊先のホテルに来た、しかし。
 黄は李そしてナツァグドルジと共に彼女が眠っている部屋の周りに結界を張っており結界に触れたらすぐに自分達にわかる様にしていて。
 彼等を一掃した、こうしたことが旅行中に何度かあったが。
 台北を出て鉄道の旅の中でもならず者達を倒して全員走る鉄道から三人で力を合わせて蹴り出した後で執事にそっと言われた。
「あの、護衛ですが」
「はい、何かです」
 黄は執事にどうかという顔で応えた。
「妙に襲い掛かってきますが」
「実はお嬢様は不思議なご体質で」
「不思議な?」
「犯罪者が寄ってくる」
「そんな体質ですか」
「ご幼少の頃より」
「それ呪いちゃいます?」
 黄は令嬢の体質の話を聞いてすぐにこう執事に言葉を返した。
「まさか」
「いえ、それがです」
「呪いやなくて」
「はい、そうしたご体質で」
 それでというのだ。
「何かとです」
「子供の頃からですな」
「犯罪者がです」
「寄って来る」
「そうなのです、お屋敷の中では流石に大丈夫ですが」
「それでもですか」
「旅行に出られるとよくです」
 今回の様にというのだ。
「狙われます」
「それで僕ちん
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