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デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~
第二十三話「来禅高校修学旅行・V」
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は一切消えた。

「…え?」

士道は思わず顔を上げ周囲を見る。遠くの方では未だ島を覆うように風が吹き荒れているのが確認できる。しかし、士道の周り、いや、士道の目の前にいる二人の少女(・・・・・・・・・・・・・・)を中心に風が止んでいた。

「く、くくくくく…」

と、士道から見て右にいる少女が口から笑いがこぼれる。少女の目には士道は映っておらず相対するもう一人の少女に目を向けている。

「やるではないか、弓弦。流石は我が半身と言っておこう。この我と25勝25敗49引き分けをしているだけの事はある。…だが、それも今日でお終いだ」

妙に芝居がかった口調で話すその少女の言葉にもう一人の少女は表情を変えずに言い返す。

「反論。この100戦目を制するのは耶?矢ではなく弓弦です」

「ふ、ほざきおるわ。いい加減、真なる八舞に相応しき精霊は我と認めたらどうだ?」

「否定。生き残るのは弓弦です。耶?矢に八舞の名は相応しくありません」

「ふ…。無駄なあがきよ。我が未来視(さきよみ)の魔眼にはとうに見えておるのだ。次の一撃で、我が颶風を司りし漆黒の魔槍(シュトゥルム・ランチェ)に刺し貫かれし貴様の姿がな!」

「指摘。耶?矢の魔眼は当たった例しがありません」

「う、うるさい!当たった事もあるし!馬鹿にすんなし!」

士道の目の前で繰り広げられる言葉の応酬。突然の事態に士道はついて行けずただ二人を見ている事しか出来なかった。しかし、この間に士道はある程度彼女たちに対する情報を得ていた。

彼女は精霊であり二人の容姿、全くと言っていいほど瓜二つな事から双子、若しくはしまいなのだろう。双子の精霊などいるのか、士道には分からないがそれでも二人が精霊である事は理解できた。

「漆黒に沈めぇ!はぁぁっ!」

「突進。えいやー」

士道は考察している間に二人の周囲に強風が吹き荒れ同時に地を蹴り突撃する。近くにいる士道は思わず両手で顔を守ると同時に足に力を入れ吹き飛ばされないようにする。

二人の距離が近づくに連れ風は強くなる。自分は琴里の精霊の力で傷を負っても問題ないが後ろで気絶している十香が無事かどうかは分からない。

故に、士道は反射的に叫んでいた。

「ま、待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

「「…!?」」

瞬間四つの瞳が叫んだ士道を射抜いた。

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