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至誠一貫
第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十五 〜義の人〜
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、攻めかかってくる素振りはないのだな?」
「はい。今のところはございませぬ」

 たまたま、目指す方角が同じ……いや、それはあるまい。
 聞けば、薊の城はさほど大きな規模ではなく、太守も不在との事だ。

「まずは、その意図を探るとしよう。使者だが」
「ウチが行く」
「霞か」
「話は聞いた。相手が賊でないちゅうなら、官軍の可能性が高い……せやろ?」
「何とも言えぬが、今のところはそうなるな」
「それやったら、ウチが出張った方がええやろ。歳っちのところやと、相手にされへん可能性かてある」
「なるほどな。だが、賊でないという保証もまた、ないぞ?」

 私の言葉に、霞は不敵に笑う。

「歳っち。ウチが、そないな賊にやられる訳ないやろ?」
「では、霞に頼むとしよう。それから」
「歳三様。私も、霞に同行したいのですが」

 と、稟が進み出る。

「何故だ?」
「相手に、心当たりがなくもない……では説明になりませんか?」
「稟。それは本当なのか?」
「そうだ。正体不明の相手が、わかるというのか?」
「そうではありませんよ、鈴々、愛紗。ただ、今までの我が軍の行動と、場所から思い当たる事があるんです」

 そう話す稟は、何かを確信しているようだ。

「良かろう。霞も良いか?」
「ウチはええねんけど……」
「大丈夫です。これでも、自分の身ぐらい、守れますから」
「……わかった。なら歳っち、ウチら二人で行ってみればええな?」
「うむ。異変があれば、すぐに知らせてくれ。愛紗と鈴々は、念のために備えを」
「御意!」
「了解なのだ!」
「星と風は、念のため、他に所属不明の軍がいないか、今一度確かめよ」
「はっ!」
「はいはいー」

 霞と稟のする事だ、手抜かりはないと見ていい。
 よもや、危険はないと思うが……。



 そして、二刻後。

「お兄ちゃん! 霞と稟が、戻ったのだ!」

 鈴々に手を引かれ、陣の外へと連れ出された。
 ゆっくりと戻ってくる、稟と霞……どうやら、何事もなかったようだ。
 そして、その後ろに従う女子(おなご)
 ……初めて見る顔だ。
 かなりの美形で、背は愛紗と同じぐらいか。

「歳っち。出迎えてくれたんか?」
「歳三様。只今戻りました」
「二人とも、ご苦労だった」

 まずは、言葉で労う。

「そっちのお姉ちゃんは誰なのだ?」
疾風(はやて)。こちらが先ほどお話しした、私の主です」

 稟の言葉に頷くと、その女子は私の前に進み出る。

「お初にお目にかかる。私は徐晃、字を公明と言う」

 徐晃……また一人、英傑の登場だな。

「私は姓が土方、名が歳三。字はない」
「少し、貴殿の話を伺いたい。それで、稟に同行さ
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