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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十七 的
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言ではない。

兵糧丸についてもそれなりに詳しい。秋道一族の兵糧丸である丸薬も調合できるほどだ。
もっともあの兵糧丸はカロリーコントロールを得意とする秋道一族しか使用できないため、調合法を知っていても、その丸薬でシカマルが強くなることはできない。


だが、薬や兵糧丸に詳しいシカマルでさえも、鬼童丸と左近が口にしている兵糧丸は見覚えのないモノだった。
シカマルの視線の先に気づいたのか、鬼童丸がカリ、と兵糧丸を噛みしめ、口角を吊り上げた。

「コイツは特別製ぜよ」

どこか誇らしげに答えた鬼童丸にシカマルが問うよりも先に、ヤマトがその場の空気を引き締めるように手をぱんぱんっと打ち鳴らす。


「さて。それでは予定通りに行動しよう」























「────来た」

風が強い天地橋の端。向こう側から来る人影を認める。
ごくり、と唾を呑み込んだナルの隣で、シカマルは双眸を細めた。

『暁』のサソリに唯一会ったナルの指導で、サソリの声色を再現したヤマトは木遁変化でサソリに化けている。
サソリに化けたヤマトが、約束の天地橋へ向かうのを、ナル・シカマル・鬼童丸・左近達は後方から距離を取って見守っていた。

約束の時間の正午。
橋の向こうから現れた相手の姿を、サソリに扮したヤマト、そして後方で待機しているナル・シカマル・鬼童丸・左近/右近は凝視する。


フードを被り、顔が窺えない相手。
今の段階ではサスケではないと判断はできない。
なんせ、サスケと以前会ったのは彼が木ノ葉を抜けた時。今はシカマル達と同じく、背も伸びているだろう。


ちりん、と鈴の音色が風に乗って聞こえてくる。
サソリに化けたヤマトが天地橋を一歩一歩ゆっくり、だが着実に渡っている。

目深に被った笠に結わえられた鈴が、橋の上を吹き抜ける強風で鋭く鳴り続けている。
それはどこか、相手に近づくなという警告音のようだった。


天地橋の中心で待っているフードを被った人物に、サソリに扮したヤマトが近寄る。
目深に被った笠の陰から、ヤマトはサソリの部下らしき人物の顔を窺った。


「お久しぶりです、サソリさま────五年ぶりですね」

ゆったりとした動作で、相手がフードを脱ぐ。強風に煽られ、フードがバサリとサソリの部下の顔を露わにさせた。
その顔を見て、シカマル以外が息を呑む。


(──薬師…カブト…)


大蛇丸の許でスパイをしているサスケから綱手に流された情報。
それを事前に知っていたシカマルは、顔を顰めるナルを横目でチラッと窺った。

木ノ葉中忍試験、そして綱手を木ノ葉の里へ連れ帰る際にもカブトとは会っているナルは複雑な
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