第六章
[8]前話
「私の中で答えは出ています」
「そうやねんな」
「それで今回のことがあります、では」
「これからやな」
「崑崙に戻ります」
麒麟は自分から言ってだった。
二人に一礼してから空を駆り崑崙に戻った、後で東方朔が西王母そして天帝から叱られたのは言うまでもない。
麒麟を崑崙に帰らせた二人は太宰から事態が終わったことと終わらせたことへの謝意を言葉で受けた。その後で。
トウジはカウサリアをカトマンズのある居酒屋に案内した、そこでだった。
水牛の挽肉に野菜を刻んだもののあんを小麦粉の厚めの皮で包んで茹でたモモ、小麦粉を練って丸穴から押し出した麺の汁そばであるトゥクバ、小麦粉の麺と野菜を炒め合わせ黒胡椒や大蒜や塩で味付けしたチョウミン、鳥の手羽先を焼いたセクワ、水牛の脳みそを焼いた料理であるギディ、デザートにヤクの乳と小麦粉から作った生地を油で揚げた菓子であるカブセ、そして米の地酒を注文してだった。
二人でことを終えたことを乾杯して飲んで食べた、その中で。
トウジの手にあるものが宿った、それは何かというと。心の中で語り掛けてくる言葉が彼女に教えてくれてそれを共に酒や馳走を楽しむカウサリアに話した。
「クマラの鎧や」
「ヒンドゥーの神様やな」
「その神様の鎧でな」
トゥクバをすすりつつカウサリアに話した。
「直接攻撃にも術にも強い」
「立派な鎧やな」
「神様の鎧だけあってな」
「それは何よりやな」
「ほんまにな、それでな」
セクワを楽しんでいるカウサリアにさらに話した。
「あたし自身な」
「どないしたんや？」
「神託を適えたさかいな」
それでというのだ、このことも心の中に語り掛けてくる言葉が教えてくれてカウサリアに話すことが出来た。
「全体的に力が一回り上がったわ」
「そうなったんやな」
「有り難いことにな」
「そのことも何よりやな」
「ああ、けどこれで終わりか」
自然にだ、トウジはこうも言った。
「ちゃうしな」
「あたし達のすることはな」
「そやろ、この世界を救うのが目的やから」
それ故にというのだ。
「これからもな」
「働いてくな」
「そうせなな、次の場所に行って」
「そういうことやな」
「そや、それでや」
トウジはモモを食べつつ言った。
「ここで飲んで食べたらな」
「その次の場所にやな」
「行こうな」
こう言ってだった、トウジはカウサリアににこりと笑った。その身体には彼女はどうでもいいと言っていたが聖者を示す後光が確かにあった。
麒麟捜索 完
２０１９・８・２５
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