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ゾンビにならなかったドラゴン
第三章

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 二人でガスも相殺した、そのうえで屍の中に油を隅から隅まで撒き。
 屍の外にも撒いた、そうしてクルマが屍に大炎の術を放つと。
 屍は激しく燃えた、クルマは気力が続く限り大炎の術を屍のあちこちに放ち燃やしていった、すると。
 ドラゴンの身体は紅蓮に燃え上がり三日もすると骨すら残っておらず灰すらなかった。そこまで徹底的に燃やされた後には。
 二人がこれまで見たこともない、それこそ大きな街の一年の予算分はありそうな金塊が出て来た。クルマはその金塊を見て言った。
「この時の為にか」
「屍は残ってたか」
「そうかもな、それがしが先に倒したことも含めてな」
「全部神託やったか」
「そうかもな」
 こうウスマンに話した、そしてだった。
 その手にあるものが宿った、それは何かというと。
「祖霊の仮面や」
「シャーマニズムに近いけど」
「陰陽道にも使える、というか」
「陰陽師である自分の為のやな」
「神具や」
 それだというのだ。
「身に着けると防具にもなるし」
「しかもやな」
「知力と政治力を上げてくれる」
「そうした効果もあるか」
「これは凄いもんや」
 クルマは自分の新たな神具を手に述べた。
「ほんまにな」
「ええもんが手に入ったな」
「自分でもそう思うわ」
 まさにというのだ。
「ほんまにな」
「それは何よりやな」
「それでや、この金塊は十星連合の政府に入れて」
「予算の足しにするか」
「九十五億の人口と広大な領土の前にはこの金塊も些細なもんやが」
 それでもというのだ。
「少しでもあるとちゃうからな」
「国庫に入れとくか」
「特にあの街の復興の為に」
 クルマはドラゴンの骸の傍にあった街を見た、街は悪臭がこびりつきモンスター達が城壁を襲い街への侵入こそないものの傷付いていた。
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