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星河の覇皇
第七十一部第五章 組み入れその二十

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「これはまた」
「少ないでしょうか」
「多いです」
 その逆だというのだ。
「それに驚きました」
「そちらですか」
「これだけ多いとは」
「ロシアで州の警視総監となりますと」
「これだけですか」
「これだけの給与となります、それに」 
 連合の経済状況も話すとだ、総監はまた驚いた。
「それもまた」
「驚かれましたか」
「はい」 
 実際にという返事だった。
「それもまた」
「ですがこれもです」
「連合ではですか」
「ロシアでもです」
「普通ですか」
「そうです、むしろこの辺りはまだ連合に入ったばかりで」
 それ故にというのだ。
「まだです」
「連合全体では、ですか」
「未開発です」
「しかし未開発でもですか」
「連合の経済圏に入るので」
「豊かになりますか」
「それだけに」
「そうですか」
「はい」
 実際にというのだ。
「その様になるのです」
「驚くべきことですね」
「連合にですか」
「そこまで豊かとは」
 実感している以上にというのだ。
「思いませんでした」
「確か貴方は二世ですね」
「不法出国しての」
「そうでしたね」
「はい、両親が詐欺師でして」
 このことはだ、総監は申し訳のない顔で述べた。
「連合では仕事が出来なくなり」
「そして、ですか」
「外縁部に逃れまして、その時はです」
 両親が外縁部に逃げたその時はというと。
「私と兄弟姉妹も一緒でしたが」
「まだ、でしたか」
「私達はまだ幼子でして」
「物心ついてもですか」
「いませんでした」
 外縁部に出たその時はというのだ。
「ですから連合の記憶はなく」
「それで、ですか」
「連合のことは知りませんでした」
「長い間外縁部のこのコミュニティにおいてですか」
「生きてきました、詐欺師の息子でしたが」 
 このことについてはだ、総監は苦笑いで言った。
「この通りです」
「警官になられたと」
「しかも警視総監にです」 
 そこまで至ったというのだ。
「なりました」
「犯罪を犯して逃げた両親を持ちながら」
「そうなりました、因果ですね」
「言われてみれば、しかし連合のことは」
「はい、ずっとこのコミュニティで生きていくと思っていましたし」
「関心もですか」
「ありませんでした」
 そうだったというのだ。
「私は、しかし連合の豊かさを見せて聞かされると」
「驚いてですか」
「そうした中で生きるのかとです」
「信じられないですか」
「非常に、しかしここで生きることが出来るのですね」
「当然の権利として」
 総監に対してだ、彼は毅然として答えた。
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