第三百七十七話 秘めた意志その七
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「勝とうね」
「それが出来ますね」
「絶対にね、確かに厳しい戦いになるけれど」
それでもというのだ。
「絶対にね」
「だからですか」
「訓練をしようね、あと城戸君は」
由良は彼の話を特にした。
「君達に何かあったらね」
「その時はですか」
「自分がどんな状況でもね」
例えそうであってもというのだ。
「助けに来るから」
「どんな状況でもですか」
「そうした人間なんだよ」
こう夏凛に話した。
「誰よりも優しくて動いてくれる人だから」
「確かに。凄く温かい人ですね」
夏凛もこのことはわかった。
「そして動いてくれる」
「自分がどれだけ傷付いていてもね」
「私達に何かあるとですか」
「駆け付けてくれるよ」
「そうした人なんですね」
「うん、そしてそのことでね」
由良はさらに話した。
「何も見返りを求めないから」
「そうですか」
「馬鹿なんだけれどな」
ゾルダも言うことだった。
「けれどいい意味で馬鹿なんだよ」
「誰かの為に必死になれる」
「自分自身のことよりもな」
「友奈みたいな人ですか」
「ああ、近いかもな。あの娘もな」
その友奈、美森と共に実戦さながらの訓練を行っている彼女を見てだ。ゾルダもその通りだと頷いた。
「そうした娘だよな」
「何でもしょい込んで」
「それを隠そうとするよな」
「自分を犠牲にしてでも」
「あいつは隠しごと出来ないけれどな」
城戸はというのだ。
「嘘が吐けないからな」
「そうした人ですね」
「けれどな」
「誰かの為に必死になるところは」
「似てるな、それがな」
城戸のそうしたところがというのだ。
「あいつの強さでな」
「その強さをですね」
「見てるといいさ、ただ俺はな」
ゾルダは自分のことも話した。
「変に頭が動いてな」
「それで、ですか」
「あいつみたいには動けないさ」
「そうですか」
「あんなに誰かの為に必死に動くなんてな」
そうしたことはというのだ。
「出来ないさ、馬鹿って言ってもな」
「いい意味で、ですね」
「馬鹿な奴はいいんだよ」
「そしてその城戸さんがですね」
「君達も助けてくれるさ」
「そうですか、ですが」
ここまで聞いてだった、夏凛はその顔をきっとさせて言った。
「そんな人なら余計に」
「迷惑かけたくないよな」
「そう思いました」
「だよな、だったらな」
「迷惑にならない為にも」
「強くなろうな」
「わかりました」
夏凛はゾルダのその言葉に頷いた。
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