第三百七十六話 清廉な心その九
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「あの時は」
「当然だからかよ」
「ああされることもな」
芝浦がそうすることもというのだ。
「そう思ったからな」
「だからかよ」
「俺も止めなかった」
そうしたというのだ。
「あえてな」
「そうだったんだな」
「あの時相当な娘があの娘達殴ったりしてたでしょ」
霧島は城戸に柳生や小猫達のことを話した。
「そうだったでしょ」
「何かあったらな」
「あの娘達も怒ってたのよ」
シルヴィアやアキホ達にというのだ。
「本当に人間ですらなくなっていたから」
「スサノオが言う通りに、だよな」
「そうよ、腐りきってね」
そうなっていてというのだ、マナの恩恵によって。
「あそこまでね」
「ことあるごとに殴ってたんだな」
「あまりに酷かったからよ」
「月光君は本気で切ろうとしていたね」
東條は彼がアキホ達に刃を突き付けた時のことを話した。
「あの時は」
「あの子も怒ってたっていうんだな」
「あの娘達にね」
「それでお前もだっていうんだな」
「助ける気なかったよ」
「グロンギに殺されかけていてもかよ」
「全くね、けれど君は違うよね」
東條は城戸にあらためて言った。
「あんな娘達でもね」
「ああ、確かにアンジュちゃん達にしたことは酷いけれどな」
城戸もこのことは認めた、だがそれで止まる城戸ではないのだ。
「それでも助けないと駄目だろ」
「ああした時はだね」
「殺されようとしてるっていうのにな」
「そうだよね、君は」
「命なんだからな」
「その前向きさが若さですね」
先生もここで言った。
「城戸さんの。そしてその若さが」
「俺を若く見せているんだな」
「そうなりますね。私に城戸さんの様な心があれば」
先生はここで遠い悲しい目になって上を見上げて言った。
「あの娘達にばかり辛い目に」
「そう言う先生だって辛かったんだろ」
「ですが」
「そのことを思うことないからさ」
城戸はその先生に優しい声をかけた。
「辛い思いをしたんは先生だってそうだしな」
「だからですか」
「そうしたことを思うこともな」
それもというのだ。
「いいと思うぜ」
「そうですか」
「だからな」
それでというのだ。
「もう自分を責めることはないさ」
「そうなのですね」
「ああ、あとな」
「あと?」
「今お昼だよな」
城戸はここで時間のことを話した。
「休日でも」
「はい、ですがあの娘達は今の時間も」
「学校にいるのかよ」
「そうです、勇者部の部室に」
「勇者部にその娘達がいるんだ」
「そうした部活がありまして」
先生は佐野にも答えた。
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