第三百七十六話 清廉な心その二
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「大抵それぞれの世界からな」
「誰か来るだろ」
「前もここに来たよな」
「ああ、それからだったな」
「その世界に行ったな」
「そうだったよな」
「全てスサノオがしていることだ」
秋山は自分達の敵の名前も出した。
「それはな」
「そうなんだよな、これが」
「全部あいつが手を回してるからな」
城戸と北岡は秋山のその言葉に二人で応えた。
「それでなんだよな」
「こっちの世界にも誰か来るんだよな」
「そしてこの俺の事務所にってことがな」
「本当に多いな」
「それか花鳥だな」
秋山は自分の下宿先であり職場でもある喫茶店の名前も出した。
「来るのは」
「あそこにも来たことあるよな」
「そうだ、だからな」
「来るならどっちかか」
「そうなるな」
「そうか、じゃあ今は戦いながらか」
「来るのを待つか」
秋山は城戸を見据えて彼に言った。
「そうするか」
「それじゃあな」
「さて、今度はどんな世界だろうな」
北岡は別の世界に行くこと自体は何でもないといった調子だった。
「また何かと違う世界なのは間違いないな」
「ああ、それでその世界でな」
「またスサノオとっ多赤生な」
「そうなるな」
三人でこうした話をしてだった、そのうえで。
城戸と秋山は暫く北岡と言い合いも見られるやり取りをしてそれから彼の事務所を後にしようとしたが。
ここで由良が事務所に戻ってきて三人を見て言った。
「三人共なら都合がいいな」
「まさかと思うけれどな」
「そのまさかなんだ、これが」
由良は城戸に友人として話した。
「城戸君が思った通りで」
「そうか、来たんだな」
「別の世界から来た人がね」
「それでどんな人なんだい?」
北岡は由良に砕けた口調で尋ねた。
「今度は」
「大人の奇麗な女の人でして」
「大人のかい」
「はい、そうです」
「それはまた珍しいな」
誰かと聞いてだ、北岡は今度はこう言った。
「別の世界から来るって言うとな」
「大抵中学生か高校生かな」
「それ位の年齢の子だからな」
「それがな」
「大人の、しかも女の人っていうのはな」
「確かに珍しいな」
「そうだよな、それで吾郎ちゃん」
北岡は秋山と話した後由良にあらためて顔を向けて言った。
「その人今ここにいるんだよな」
「事務所の前で待ってくれています」
「じゃあすぐにお通しして」
その人をというのだ。
「今ね」
「わかりました」
こうしてだった、由良は別の世界から来た客人を事務所の中に通した。その女性はというと。
妙齢の落ち着いた感じの眼鏡の女性だった、知的な美貌がそこにある。秋山はその彼女を見てすぐに言った。
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