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金色に輝く女
第二章

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「いい匂いよ、由香ちゃん」
「だって毎朝シャワー浴びて」
「学校に行く前に」
「夜もお風呂入って」
「一日二回なのね」
「それで香水も使ってるから」
 こちらもというのだ。
「だからね」
「体臭がしないのね」
「そうなの、こっちにね」
「苦労してるのね」
「よく男の子は女の子からはいい香りがするっていうけれど」
 眉を少し顰めさせてだ、由香は衣吹に話した。
「それはね」
「違うのね、私は体臭は気になっていないけれど」
「それでもなのよ」
「由香ちゃんの場合は」
「もうきついから」
 それでというのだ。
「いつもね」
「お風呂に入って香水も使って」
「手間暇とお金かけて」
「私の毛と同じで」
「そうしてるのよ、女の子からいい香りはしないわよ」
 それどころかとだ、由香は言うのだった。
「男の子以上によ」
「きつい体臭がするっていうのね」
「私はそう思ってるわ」
「そうなのね、お互いね」
「悩みあるのね」
「身だしなみのことで」
 二人でこんなことを話していた、そしてだった。 
 そうした話の中でだ、ふとだった。
 衣吹は家に帰って入浴の時にいつも通り脱毛クリームで手足の毛を整えようとしていた、だがその時にだった。
 クリームがなくなった、それで剃刀で剃ろうとしたが。
 剃刀もなくだ、風呂場から出て母に尋ねた。
「お母さん、脱毛クリームと剃刀ないけれど」
「あっ、ないの?」
「どうしたの?」
「クリームは買い置きない?」
「ないわよ?」
 いつも置いている場所を探すとなかった。
「切らしてるのね」
「明日買っておくわね」
「ええ、剃刀は?」
「あっ、全部捨てたわ」
「何でなの?」
「いえ、剃刀ってすぐに切っちゃうでしょ」
「それはね」
 衣吹が使っているのは安全剃刀だ、だがそれでもだ。
「そうだけれど」
「だからもうよ」
「全部捨てたの」
「使わない方が安全だから」
 切るからだというのだ。
「だからね」
「全部捨てたの」
「これからはクリームだけにしてね」
 脱毛クリームでというのだ。
「毛の処理はね」
「そのクリームがないから」
 それでとだ、母は娘に話した。今台所で夕食の用意をしていて風呂場の扉を開けてそこから話している娘に応えているのだ。
「だからね」
「どうしようっていうのね」
「実際何かないの?」
「だったらね」
 ここでだ、母は娘に台所で今作っているポトフの火加減を見つつ娘に話した。
「そこに毛染めあるから」
「毛染め?」
「それを使ってね」
 そうしてというのだ。
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