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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
幼馴染との同棲
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「武藤くん、本当にタダでいいの? え、悪いよっ、こんなに荷物持ってきてもらったのに……」
「いや、ホントにいいんで! 車輌科の人間なら誰でもこのくらい朝飯前っスから!」
「うーん、でも……ガソリン代くらいは……」


要求の空回り、平行線の談論──白雪も武藤も、お互いに『らしい』と言ってしまえばそれだけだろう。そんな交渉を5分ほど前から聞き流しながら、自分とキンジは男子寮駐車場に停められた軽トラックの荷台の傍らに立って、白雪のための引越し作業をこなしていた。
彼女がキンジをボディーガードにしたならば、その効率を鑑みても、2人を近くに置いた方が良い──というような結論は容易に生まれることだ。何よりも、白雪を招き入れるだけの空き部屋が存在したことが幸いしたろう。そうでなければ、キンジを女子寮に送っていただろうから。

そうなったら、キンジは嫌がっただろうねぇ──と苦笑しながら、荷台の上から荷物を降ろす。それを幅広の《境界》に経由させて、アリアに手渡した。彼女は彼女で、家具の簡易的な配置と荷物の整理を行ってくれている。現時点で布団と茶卓、座椅子、桐箪笥といったものが《境界》の向こうには見えていた。選択の好みもまた、白雪らしいと言えばそうだった。
「随分と和風テイストねぇ。フローリングなのが勿体ないくらいじゃない?」そう笑みを零しながら、アリアは問いかけてきた。「確かにねぇ」と返しながら、言葉を次ぐ。


「それにしても、まさかアリアも手伝ってくれるなんてね。今日は少しばかり暑いから、てっきり気が乗らないだろうと勝手に思っていたけれど……。そうでもなかったかぁ」
「だって、『手伝って』って彩斗やキンジに言われるってのが目に見えてるもん。いっそのこと手伝ってあげた方が、好感度も──あ、嘘! 今の無しっ! 何でもない!」
「ふふっ、随分と可愛らしい理由だね。大丈夫、好感度は上がったよ」


少し拗ねたような顔をしているのは、それが照れ隠しだからだろうか。『書籍』と付箋の貼られたダンボール箱を「ちょっと重いから気を付けてね」と彼女に手渡しながら、そう類推する。


「うん……。わっ、意外に重いわね……」
「落とさないように気を付けろよ。白雪のものなんだからな、最悪は弁償してもらうぞ」
「馬鹿キンジは黙ってなさいっ! 口を動かす暇があるなら手を動かすこと!」
「はいはい、いつも通り生意気なことで」
「『はい』は1回!」


2人の軽口の応酬を聞く度に、打ち解けてはいるのかな──と思う。始業式の日に起きた邂逅はまさに最悪そのものだろうし、アリアもキンジもそのことを少なからず気にしていた。けれど時間が解決してくれるとはこのことで、2人の共通の人間が自分であることからも、そういった点ではあの溝はだんだんと埋められて
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