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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十六 親睦
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屋を遠目に見遣る。


「木ノ葉は人目がありすぎるな…さっきの『根』の眼が隅々まで行き届いている」

そう言いつつも、猫に完璧に変化していた為、バレなかった彼は地面を忌々しげに見下ろす。
それは地下に蔓延る根を睨むような視線だった。


「木ノ葉という大木を地の中で支える『根』…だが眼に見えないその『根』の根元が腐っていたとしたら────」

サイが持ち歩く本の表紙の人物────死んだはずであり、水の柱に囚われているはずのシンはそこで言葉を切った。
水月の兄の満月と間違われている彼は、真実を告げたい想いを抑え、サイの部屋を見据えると、やがて鳥の姿へ変化して、空を飛び立つ。


直後、部屋を出て里外へ向かうサイの後ろ姿を追いながら。





























「ヤマト隊長〜!」
「やれやれ…現金な子だね、君は」

温泉街の宿で、太っ腹にもご馳走を食べさせてくれたヤマトに、ナルはすっかり懐いたらしい。
犬のようにヤマトについて回るナルを見て、左近が「おめーも大変だな」とシカマルに労いの言葉をかけた。


「どういう意味だよ?」
「いや、お前ってアイツの保護者っぽいとこあるからさァ」

人の悪い顔をする左近をシカマルが横目で睨んでいる傍ら、ヤマトにまとわりついていたナルがこちら側へ駆け寄ってくる。鬼童丸をビシッと指さしながら、負けん気の強い彼女は鼻息荒く、宣戦布告した。


「ところで!おめーとはいつか決着つけなきゃいけないってばよ!!」
「おう。望むところぜよ」

宿を出て、さほど経っていないのに、道中で喧嘩が勃発しそうな気配に、シカマルは「お、おい」と焦った声をあげる。
親睦を深めるという意図から、温泉街の宿をとったヤマトの笑顔が徐々に暗くなってくるのを認めて、シカマルはナルと鬼童丸の間に割り込もうとした。



「腕が六本もあるなんて、ズルいってばよ!!腕相撲で勝てるわけねーってば!!」
「ふふん、負け犬の遠吠えぜよ」

直後、思いもよらぬ喧嘩の内容に、ガクッと崩れ落ちる。
ぽかんとするシカマルの横で、左近が呆れたように「アイツら、昨日、腕相撲で白熱してたんだよ」と説明した。




いつの間にか、ヤマトの思惑通り、親睦を深めているナルと、鬼童丸と左近。

すぐ仲良しになる美点を持つ彼女だが、それにしたって警戒心無さすぎだろう…とシカマルは脱力したのだった。
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