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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第63話 太陽が曇る時、西風が吹いて空を晴らす
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元に向かう。でもその表情はいつになく真剣なものだった。


「エステル、ヨシュアがいなくなったと聞いた。何か少しでもいい、心当たりがある事はないか?」
「えっと、昨日アイスを食べに行く時までいつも通りのヨシュアだったの。そこであたしとヨシュアは誰かに会ってそしたらヨシュアの様子がおかしくなって……あれ?あたし誰に会ったんだろう?」
「エステル?」


 カシウスの質問に答えていたエステルは、突然何かを忘れてしまったように困惑していた。


「エステル、どうしたんだ?」
「分からないの……あたし、確かに誰かに会っていてその人と会ってからヨシュアは様子がおかしかった……でもこうして聞かれるまで全然疑問にすら思わなかった……」
「リィン、これって……」
「ああ、俺達と同じだ」


 エステルは記憶を失っていた、それはまるでエレボニアからリベールまでどうやって来たのか記憶にないわたし達と同じ状態にそっくりだ……


「エステル、その人物の事は何か思い出せないか?何でもいい、少しでも思い出せることなら何でも話してくれ」
「その人は……駄目。顔は少し浮かぶんだけど名前が浮かばない……眼鏡をかけていたような気はするわ」
「眼鏡か……流石にそれだけではな」


 眼鏡?……もしかしてあの人物じゃないのかな?


「ねえリィン、エステルが言っている人物ってもしかしたら……!?」


 わたしはリィンにその思い当たる人物の名前を言おうとした、でもその瞬間にまるで霧のようにその人物の事が分からなくなってしまった。


「あ、あれ……?」
「フィー?どうかしたのか?」
「リィン、わたし達がちょくちょく会っていた人って誰だっけ?ほら、学園祭やグランアリーナで出会ったあの……」
「えっ?それは……あれ?誰と会っていたんだ?俺は……」


 ……!?リィンも同じように分からなくなっているの!?


「ラウラ!ラウラは覚えていない?グランアリーナで出会った眼鏡をかけた人に?」
「眼鏡をかけた人物か……」
「どう?覚えている?」
「……済まない、顔が浮かぶのだが霧がかかったようにはっきりと見えないんだ。名前に至っては一文字も浮かばない」


 そ、そんな……さっき釣りをしていた時に間違いなくその人物の名前を言っていたのに今はまったく思い浮かばないよ。


「エステルだけでなくリィン達まで……何者が接触したんだ?シェラザード、お前は心当たりはないか?」
「私はクーデター事件が起きる前にロレントから来ました、だから正直心当たりは無いですね……」


 シェラザードも心当たりは無いみたい。ああもう、顔ははっきり思い出せないし名前なんて掠りもしないよ、一体何がどうなっているの?



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