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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン13 太陽と月と罪と罰
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「……色々と知っておいた方がいい前提はあるんだよ。でも、それやってると長くなるから今この瞬間に必要な要点だけ。それでいい?」

 七宝店内で再び机を囲み、最初に口火を切ったのは清明だった。

「なんだ、けち臭いな。アンタの知ってることとやら、とりあえず全部話してみればいいじゃねえか」
「そうは言うけどね。そもそもなんで、僕があの幽霊をカードの精霊だとわかったのか……とかそういう話だよ?特にそっちの彼なんて、絶対聞きたくないような話でしょ」

 とりあえずといった風に噛みついた糸巻に、肩をすくめてさらりと隣の鳥居に話を回す清明。急に話を振られた彼が何か言おうとするのに先回りして、そのままじっとりとした視線を向ける。

「俺は……」
「あれ、違うの?」
「……まあ、否定はしない。正直俺としては、お前そのものに対してまず懐疑的だからな」
「だろーね。だからその辺の前提は全部すっ飛ばして、あの子が精霊なことは確定情報として喋らせてもらうよ」

 さもそれっぽい理屈を述べて澄ました顔こそしているが、それは詐欺師の手口に他ならない。仮定の話にまた仮定を積み重ね、それを前提としてさらに仮定を上塗りする。そうやって話を膨らませるうちに、気が付いたときには一番最初に作られたはずの仮定はもう確固たる「事実」にすり替わる。あえて何も言いはしなかったが、糸巻の心の中でのこの少年に対する警戒レベルはまた1段引き上がった。
 デュエリストとしては信用できる。しかし、人間としてはどうだろうか?そんな疑心の視線を知ってか知らずか、しかめっ面を浮かべた彼の話はいよいよ本題に入る。

「ブレイクビジョン……「BV」だっけ?随分とまあ、とんでもないもの作ってくれたもんだね。本来カードの精霊ってのは、精霊だけの世界にいるものなんだよ?だけど持ち主がカードを大事にして、さらにたまたま精霊とデュエリストの……なんて言うのかな、波長が合った場合?うん、大体そんなときにだけそのカードを扉にして次元を越えて、こっち側に来ることができるってわけよ」

 ここで一度言葉を切り、周りの3人にじろりとかすかな非難混じりの視線を送る。しかしどんな目で見られようと、そもそも彼女たちもまた「BV」に人生を狂わされた被害者でしかない。同意のこもった表情で肩をすくめて先を促す糸巻に、また口を開く。

「そうやってこっちに来れた精霊も、基本的には人間からは見ることができない。こればっかりはどうしようもないけど、そもそも精霊を見ることのできる人間はかなり数が少ないんだ。まあ精霊側の世界に行けば話は別だし、たまーにこっちの世界でも自力で実体化できるような子もいるから例外も多いけど」
「いよいよもって胡散臭い話だな。つまり、お前にはそれを見ることができると?」
「色々あったのよ、色々ね。
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