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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第023話 5日目・2月04日『桜の秘め事と志郎の想い』
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――Interlude



桜は昨日に慎二が志郎と戦闘を行った事を間桐臓硯から聞いていた。
桜の表情に浮かぶのは志郎に対する申し訳なさ。
そしてこんな汚れ仕事に付き合ってくれる優しい(愚かな)兄さんに対する嬉しさ(哀れみ)………。
こんな事をしてしまえばもう兄さんと先輩は普通の付き合いができないのは見なくても伺う事が出来る。
桜は知っていた。
慎二が志郎にどういう感情を向けているのかを………。
でも、それでも桜にも慎二には思い入れがあった。
なにかと酷い言葉や仕打ちを浴びせられてきたがその心の奥にある私を大事に思っているという優しい気持ち。
それは最後には呆気なくお爺様の蟲の中に消えていった哀れな雁夜おじさんとまさしく同じ姿だった。
だから惹かれたのかもしれない………。
おじさんは私を助け出そうと奮闘し最後には願い叶わず散っていった。
では、兄さんは今度はどこまで出来るのか………?
本当に私を救ってくれるのか………?
救う算段は出来ているのか………?
死ぬのは怖くないのか………?
………考えることはいくつもあるが、先輩にも迷惑をかけていないか………?が第一優先に上がってくる辺り、すっかり私は先輩の家で毒を抜かれていたのかもしれない………。
先輩の優しさが私の心を癒し、温めてくれた。
料理の一つも出来ない自身に笑う事もせずに親身になって料理を教えてくれた。
料理や他にも色々な事の成果が出るとまるで自分の事のように喜んでくれた。
その表情一つ一つがとても私には眩しくて………。
時々錯覚すら起こす。
私はこんな温かい所にいていいのかと………?
でも、そんな事を恐らく聞いたとしたら先輩は迷いもせずにこう言うだろう。

『桜は幸せになっていいんだよ? それを邪魔する権利は誰にもないんだから』

満面の笑みでそう答えるだろう。
その表情を想像しただけで………私はもう。
あぁ、可愛い先輩………。
出来る事なら私だけの先輩でいてほしい。でもそんな欲張りはしてはダメだ。それでは先輩の自由を奪ってしまう。先輩の夢を奪ってしまう。
だから我慢だ………。
私が我慢をすれば先輩はいつまでも私に笑顔を向けてくれる。
その笑顔を見るために今日も一日頑張ろう。
でも、今日を最後に聖杯戦争が終わるまであの家にはいくな、とお爺様に言われてしまった。
もしかしたら最悪の可能性では先輩と会えるのは今日が最後かもしれない。
だから最後くらいは先輩に精一杯甘えるんです。
今日だけは、優しい先輩の元で一緒にお夕飯を食べて、それからは………、それからは………、それからは………?
あぁ………そっか。また戻るんですね。先輩と出会う前の暮らしに。
悲しいなぁ………。
私はただただ心に穴が開いたかのような思いに
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