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レーヴァティン
第百十二話 若狭も手に入れその一

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                第百十二話  若狭も手に入れ
 英雄達は観音寺城に入るとこの城を拠点として近江攻めをさらに進めた、そしてそのことを進めつつだ。
 観音寺城の中でだ、英雄は仲間達に言った。今は夜で酒を肴と共に楽しんでいる。食べているのは鯉料理ともう一つあった。
「観音寺城はいい城だな」
「ただ大きいだけでなく」
 峰夫が笑って応えた。
「場所的にもでありますな」
「近江の南の中心にあってな」
 それでとだ、英雄は飲みつつ話した。
「東西に行ける」
「そして湖の水運を使えば」
「すぐにだ」
 まさにというのだ。
「近江の各地を攻められる」
「だからでありますな」
「この城に入ったことはな」
 そして近江攻めの拠点にしたことはというのだ。
「実にいい」
「左様でありますな」
「ではだ」
 鯉の刺身を食べつつだ、英雄は言った。今日の主な肴はまずはこれなのだ。
「ここからだ」
「近江攻めをでありますな」
「進めていく」
 順調にというのだ。
「そうしていく」
「そうでありますな」
「しかも先の戦いで敵は破った」
 徹底的にというのだ。
「それでだ」
「敵の抵抗も少ないですね」
「戦いたくともな」
「肝心の兵が少ない」
「そうなっているからな」
 だからだというのだ。
「ここはだ」
「さらにでありますな」
「攻めていってだ」
「近江もでありますな」
「完全に手に入れる」
 こう言ってだ、英雄はもう一つの肴を口にした。それはこの地域の名物である鮒寿司だ。それを食べたのだ。
 そしてだ、今度はこんなことを言った。
「この鮒寿司はな」
「癖が強いね」
 桜子が少し苦笑いで述べた。
「お寿司といってもね」
「それでもだな」
「握り寿司や巻き寿司とはね」
「全く違うな」
「勿論ちらし寿司ともね」
「別ものだ」
 まことにというのだ。
「これはな」
「そうだね、けれどね」
「鮒寿司、つまり馴れ寿司がな」
 それがとだ、英雄は言うのだった。
「元々の寿司だ」
「そうなんだよね、これが」
「馴れ寿司は時間がかかる」
 作って食べられる様になるまでだ。
「だからだ」
「その代わりとしてね」
「握り寿司が作られた」
 江戸時代の江戸においてだ。
「そうなったからな」
「だからだね」
「鮒寿司はな」
「そうしたお寿司だってことは頭に入れて」
「そしてだ」
 その鮒寿司を食べつつ言うのだった。
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