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お茶の精
第七章

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「絶対のことだろ」
「どうしてもか」
「ああ、子供の頃からな」
 それこそとだ、土方は言うのだった。
「人間にはあるものさ」
「周りの誰かが死ぬことはか」
「このことを悲しんでも嫌がってもな」
「仕方ないか」
「自分自身でもだよ」
「わしが死んだ後はとか思うことはか」
「仕方ないんだよ」
 それこそというのだ。
「それはな」
「そうか」
「だからな」
「あの娘ともか」
「別に一緒に暮らしていてもな」
「いいか」
「ああ、いいんだよ」 
 土方にまた言うのだった。
「別にな」
「そんなものか」
「それでな」
 土方はさらに言った。
「その娘は別に悪くないだろ」
「そうだな」
 鷲塚は自分の駒の配置を観つつ土方に応えた、そのうえで土方の配置を見ると攻防がはっきりしている。
「そう言われるとな」
「だったらな」
「それならか」
「もうな」
 それことだ、土方はまた言った。
「一緒にいていいだろ」
「あの娘が一緒にいたいならか」
「あんたを気に入ってるんだろ」
「そのこともわかるな」
「だったらな」
 余計にと言うのだった。
「さらにいいだろ」
「そんなものか」
「ああ、それとな」 
 土方はさらに言った。
「わしにも紹介してくれるか」
「その娘をか」
「そうしてくれるか」
「あの娘がいいって言うならな」
 それならとだ、鷲塚も応えてだった。
 そして彼の紹介で土方もお静と会った、それからは三人でよく鷲塚の家でお茶も飲む様になった。するとだった。
 鷲塚はある日ふとこんなことを言った。
「一人でいるよりな」
「二人ですね」
「そして三人だとな」 
 お静、そして土方を見て言うのだった、お茶を飲みながら。
「余計にな」
「いいよな」
「本当にな、幾ら歳でもか」
「一人でいることはな」
「よくないか」
「そうだな」
「はい、確かに人は絶対に死にます」
 お静も言ってきた。
「そのことは避けられないです」
「そうだな」
「ですが」
 それでもと言うのだった。
「それでも一人でいることは」
「よくないな」
「寂しいですから」
「寂しいとな」
「それだけで悲しいですから、私も」
 お静にしてもというのだ。
「一人だった時がありますけれど」
「そうなのか」
「その時は」
 本当にと言うのだった。
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