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濾過
第四章

[8]前話
「大変なことだが」
「それも、ですね」
「あの人の資金がよくなかったですね」
「多いことはいいのですが」
「それでも」
「いつも言っているね、政治はお金だけれど」
 岸はここでも持論を述べた。
「どういったお金かだよ」
「奇麗なお金でないと駄目ですね」
「濾過して奇麗にしていないと」
「田中さんの様に突っ込まれて」
「あの様になりますね」
「そう、人は見ているんだ」
 岸はこのことも指摘した。
「誰かが。特に首相ともなれば」
「皆が見ますね」
「日本の誰もが」
「そう言われていますね」
「そして海外も。どうも」
 ここでこうも言った岸だった。
「アメリカが噛んでいるかも知れないがね」
「アメリカですか」
「あの国がこのことに噛んでいますか」
「田中さんのことに」
「そうかも知れないね、しかしね」
 例えアメリカに陥れられたにしてもというのだ。
「突かれるものを持っていたからだよ」
「突かれますか」
「そうなりますか」
「お金のことにしても」
「奇麗なお金でなかったからこそですか」
「そう、政治では陥れられる方が悪い」
 陥れる者達が悪いのではなくだ。
「彼はそれがあったんだよ」
「そのお金のことですね」
「お金が濾過されていなかった」
「だからああなったのですね」
「その通り、だから私はこれからもだよ」
 岸は周りに政治家として話した。
「お金は濾過してね」
「使っていかれますね」
「お水の様に」
「汚い水は飲むと悪い」 
 岸はこうも言った。
「そして汚いお金もだよ」
「使うと悪い」
「そうなるのですね」
「あの通りにね」
 岸はここでテレビを点けた、そこでは田中のことが話されていた。彼の金脈の疑惑について色々と話されていた。岸はその報道を周りと共に観て難しい顔になっていた。


濾過   完


               2018・11・12
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