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遺跡に残されたもの
第三章

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「まさか」
「いえ、遺跡にもです」
「毒蛇や蠍はですか」
「いますね」
「そう言われますと」
「ここは元々こうした生物が多いですから」
 ダリーオはニカラグアもっと言えば中南米自体の話をした。
「密林地帯も近いですし」
「それはわかっていましたが」
「これまで安全だったからですか」
「安心しきっていました」
「そうでしたか。ですが」
「ここは中南米で」
「気候的にです」
 この条件からというのだ。
「毒蛇とか毒虫が多いですから」
「この遺跡の中にもですね」
「当然です」
「そうですね、言われてみれば」
 先生も反省する顔になった、そのうえでダリーオに応えた。
「気をつけないと」
「そうです、それと」
「それと?」
「危ないのは毒蛇や毒虫だけやないです」 
 周りを警戒する目で見つつ先生に話した。
「ここは」
「落盤とか遺跡に元からあった罠とかありますさかい」
 セプルベダも言ってきた。
「そやから」
「そうしたものにもですか」
「注意して」 
 そしてというのだ。
「先を進んでいきましょう」
「そのこともですね」
 先生はセプルベダの言葉にも頷いた、そうして言うのだった。
「注意しないと」
「そうです、遺跡では事故も付きものですね」
「はい、古い場所なので」
「落盤や床が壊れていて」
「落とし穴になっていたりもしていますね」
「罠がそのまま残っている場合は本当にあります」
 またダリーオが先生に話した。
「そうですさかい」
「慎重にですね」
「先に進んで」
 そしてというのだ。
「調査を続けましょう」
「わかりました」
 先生の顔は真剣なものになっていた、その真剣な顔でダリーオ達の言葉に頷いた。ダリーオはすぐに罠やモンスター達から身を守る術やダンジョンの探索に欠かせない灯り等の術を使って警戒を万全にした。そうしてだった。
 三人でさらに進んだ、するとだった。
 毒蛇や大蠍だけでなく迷宮にいる様な獣が多く出て来てしかもモンスター達まで出て来た。どれも大して強い種類ではなかったが。
 先生は獣やモンスター達と遭遇する度に瞬く間に倒し残っていたトラップや落盤等を術で防ぐ二人を見て言った。
「これまで本当にです」
「危険とはですね」
「無縁だった遺跡が」
「急に変わることもありますから」
 ダリーオはその先生に穏やかな声で話した。
「ですから」
「こうしたこともですか」
「はい、先生はこれまでずっと遺跡は」
「色々な遺跡を調査してきました」
「なら危険な目にも」
「何度も遭っています、それでこの遺跡も最初は警戒していましたが」
「ずっとモンスターも毒蛇も罠もなくてですね」
「すっかり安心していました」
 反省している言葉だった、今は。
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