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Blazerk Monster
抜き打ち勝負!
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るつもりもないことの証明だった。

「千屠は、あのまま続けてたら……巡のポケモンを殺してた?」
「てゆっか、さっき中身のサンドごと斬ろうとしたんだけどね! 川の氷を急ピッチで固めたせいか脆かったから斬る前に壊れたけど。ラッキーだったね♪」
「なんでそんな簡単に言えるんだよ! バトル相手のポケモンを殺すなんて──」
「それの何が悪いの?」

 川に挟まれていなければ走って相手につかみかからんばかりの巡に、千屠が真剣な表情で言う。

「もし俺のオオタチが無抵抗にアイスボールに轢かれてたら、普通に死んでたよ? 自分は相手を殺すほどの攻撃をしたのに自分たちは殺されたくないっていうのは、甘ったれすぎだろ」
「……!!」
「極論ね。そんな心構えでバトルをしてる人なんて少ないわ。でも……戦う相手に殺気があるのかどうか、どういうつもりで戦ってるのかは見極められないとポケモンどころか、自分が死ぬ。これは事実よ」
  
 ポケモントレーナーもちょっと目が合っただけでこっちの状態なんてお構いなしでバトルを仕掛けて来るなんて当たり前。強盗や悪の組織が何の前触れもなく襲って来ることだってある。涼香と初めて会ったときに言われた言葉が実感を伴って襲ってくる。

「ふーん、俺を責めるでもなくやんわりというんだね……随分優しいお姉さんだこと。言われっぱなし、らしいけど悔しくないの?」

 千屠がにやにやしながら聞く。その表情はやはり巡にとっては気に入らないものだったが、涼香は頷く。

「言い返す意味なんてないわ。事実だから」
「えー何それつまんなーい! せっかく楽しいバトルだったのに興が冷めちゃうよー」
「知らないわよ、そんなこと」
「でもさ、そんな中途半端な態度じゃ横のヘルガーは不服なんじゃないの? なあダチ」
「……わかってる」
「オオッ?」

 オオタチは意味が分からなかったのか首をかしげる。そしてそれは巡も同じだった。でも二人は教えてくれる様子はない。

「じゃ、そっちはウェールズに行くんだよね。俺はフェローに行くから、一旦お別れってことで! そっちの新人さんたちも、文句はないよね。引率のお姉ちゃんが決めたことなんだから!」
「巡、認めるしかない」
「わかったよ……でも、次は負けない! 絶対だからな!」

 千屠は一瞬ぽかんとした後、やはり雲一つない空の日差しみたいな笑顔で言った。

「いいよ、次は負けないなんて言ってられる余裕がいつまであるかは知らないけどねー」

 言い返したいことは山ほどあったが拳でズボンの裾をぎゅっと握りしめて我慢する。奏海と明季葉が心配そうに巡を見つめる。この勝負に何より負けたくなかったのは巡だし、一方的に勝負を切られたあげく平然と手持ちを殺す気だったと言われて彼が平気なわけがないからだ
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