暁 〜小説投稿サイト〜
Blazerk Monster
巡る季節が奏でる出会い
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が子供の頃住んでいた家らしく、彼女の両親に昨日はお世話になった。二人とも温厚で、あまり表情が表に出る感じではなかったのでよほど何かあったのだろうかと奏海が明季葉に尋ねる。

「目つきの悪い……多分ヘルガー。でも大人しくしてた。それと後一匹」
「うんうん、後一匹は?」
「飾りつきの蝋燭みたいなポケモンだった……引率トレーナーさんが腕に抱きかかえてる。可愛い」
「蝋燭のようなポケモンですか」
「なあなあ……それってもしかしてこいつ?」

 巡がドアの入り口を指さす。奏海と明季葉がそちらを見ると、毒々しくて趣味の悪い色合いのガラス玉がいくつも埋め込まれた白い円柱の体、頭に紫色の炎を灯したポケモンがのそのそとこちらに近づいてくるのが見えた。円柱についている黄色い一つ目が、じろりと明季葉を捕らえるのが巡にはわかった。

「このポケモン……もしかして」
「アキちゃん危ないっ!!」
「……!」

 ドアの傍にいた明季葉が急いで飛びのこうとする。だが距離を離すよりも先に、蝋燭のようなポケモンが頭から炎を噴出し明季葉を襲い一瞬で明季葉の体が炎に巻く。明季葉は地面をもがくように転がったが、火が消える様子はない。慌てる巡。

「や、やばいって! 俺、今すぐ水を持ってくる!」
「巡兄さま、それより兄さまのポケモンを!」
「ポケモン……そうか!!」

 奏海の指示で巡は腰につけたモンスターボールに目をやる。二つのボールの中にはアリゲイツとオオスバメが入っていた。この状況で出すべきなのはどちらか一瞬考える。

「よし、炎には水タイプだ! アキちゃんを助けてくれクロイト、『水鉄砲』だ!」
「バァア!」

 巡にクロイトと名付けられたアリゲイツが大きな口からバケツに汲んだのをぶちまけるように水を放つ。明季葉の体を濡らし、火を消そうとするが――紫色の炎は一向に消える様子はない。

「消えない……!?」
「もしかしてこの炎……『鬼火』でしょうか」
「冷静に言ってる場合じゃないだろ! このままじゃアキちゃんが!」
「いえ、実際の炎ではなく『鬼火』であればひとまず命に別状はありません。このポケモンを倒せば炎は消えるはずです!」

 奏海は自分のスーツケースの中からモンスターボールを取り出そうとしているようだが、鍵をかけてしまっていて中々取り出せない。炎に包まれたままの明季葉が、力のない声で言う。

「明季葉は、大丈夫……熱くない、平気……」
「そんな辛そうな声で平気なわけないぜ! 今助けるからちょっとだけ我慢しててくれよ……スワビーも頼んだ!」

 巡は残るもう一匹、スワビーと名付けたオオスバメを出す。オオスバメは部屋の天井で旋回し、一気に蝋燭ポケモンを鷲掴みにしようとする。

「クロイト、『噛みつく』で攻撃だ!」


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