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八条学園騒動記
第五百十六話 本をなおしてその二

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「大体ね」
「八十年か」
「だからその馬鹿はもうね」
「生きていないかも知れないか」
「そうかもね。生きていても」
 例えそうしていてもとだ、ナンシーは話した。
「どうせ馬鹿爺になってるわよ」
「今生きていてもだな」
「そうでしょうね、まあとにかく私が話した馬鹿は」
「お前の親戚じゃないか」
「このことは確かよ」
「それは何よりだな、親戚にな」
「馬鹿がいると」
「本当に難儀だ」
 そうなるというのだ。
「見ていて嫌になる」
「身内にそんな人がいると」
「一族の長老が怒ってもな」
「そこ韓国的ね」
 一族の絆がこの時代でも強いこの国らしいとだ、ナンシーは長老という言葉を聞いてそのうえで述べた。
「何か」
「そうだな、しかしな」
「長老さんが言っても」
「聞かなくてだ」
「挙句にはよね」
「殴ってやろうかだ」
 そう言うというのだ。
「そんなのだからな」
「どうしようもなくて」
「誰からも見放されてな」
「行方不明ね」
「死んでくれていてもな」
 洪童は忌々し気な顔で本音を口にした。
「いいがな」
「あんたも嫌いなのね」
「昔は慕っていたがな」
「それ子供の頃でしょ」
「ああ、本当に子供だった」
 その時のこともだ、洪童は話した。
「まだ人のことがわからなくてな」
「その人を慕っていたの」
「しかしうちにいきなりお邪魔しますとも言わず来てだ」
 それでというのだ。
「韓国ではそうした付き合いが多いにしてもな」
「度が過ぎてたのね」
「大飯喰らって風呂に入ってベッドまで借りてな」
「本も漁って」
 ナンシーは洪童が話したことをそのまま返した。
「そうしてだったから」
「しかも朝飯も大飯を喰らってだ」
 夕食だけでなくというのだ。
「母親から金を貰ってな」
「帰っていったの」
「平気でな、そんな風だったからな」
「あんたも嫌う様になったのね」
「一番腹が立ったのは宗教団体の悪口を言ったことだ」
「それなのね」
「俺も信仰しているからな」
 それだけにというのだ。
「よくそんなことが言えるなとな」
「怒ったのね」
「その団体の教理を碌に勉強していないのにな」
「あんた本当に怒ってるわね」
「もうどうなってもだ」 
 その親戚がと言うのだった。
「いい、本当に死んでくれてもな」
「いいのね」
「犯罪、人に迷惑をかけない範疇でそれをやってな」
「刑務所に入ってもいいのね」
「いや、強制労働をさせられてもだ」
 連合では凶悪犯が従事する、そして殺人等のかなり悪質な凶悪犯は惨たらしい死刑を公開で行われるのだ。
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