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マリオネット −操り人形ー
第三章

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 彼女が言ったこととマリオネットの舞台目で見たそれを交互に考えた。最初は彼女が思ったことが何なのかわからなかったけれど。
 ふとわかった、それでだった。
 舞台が閉演して拍手で楽しい催しを見せてくれた二人に拍手を送ってから百貨店を出た。そこで私から彼女に誘いをかけた。
「ちょっと飲んでいきましょう」
「ええ、じゃあね」
 友人も頷いてくれてだった、それで駅前の馴染みのバーに入った。大人の雰囲気の洒落たバーのカウンターに並んで座って。
 それでカクテルを飲みながら私は友人に言った。
「貴女がマリオネットがどうして人間そのものに思えたか」
「そのことがわかったのね」
「何となくね」
「ううん、そう言われると私も」
 友人は飲みつつ私に応えてくれた。
「何となくだけれど」
「わかったのね」
「ええ、多分ね」
 こう前置きして私に話してくれた。
「人間は自分で動いている様で」
「自分の考えでね」
「それがね」
 その実はというのだ。
「違うのよ」
「そうよね、人間はね」
「自分で自由に動いていないのよ」
「神様が動かしているのよ」
「そう、それで法律とか社会とかね」
 神様以外のこともだ、友人は私に言った。
「そうしたものにもね」
「動かされているわね」
「お金だったりお仕事だったり家族だったり」
「世の中何かとあってね」
「そうしたものにね」
「人間は動かされているのよ」
「縛りというか糸を受けて」 
 マリオネットだから糸だ。
「それでね」
「神様だったり世の中の色々なものにね」
 まさにだ。
「動かされているのよ」
「それが人間で」
「マリオネットは催しだけれど」
 それでもだ。
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