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麗しのヴァンパイア
第百四十一話

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              第百四十一話  朝食の時から
 雪路はカーミラの言葉に頷いてだった、そのうえで。
 朝食の場に置かれていたシャンパンを飲んだ、それも一杯や二杯ではなく。
 朝食を食べつつそれと共に飲んだ、シャンパンを五杯六杯と飲むと次第に酔いが回ってきてそのうえでだった。
 カーミラにだ、こんなことを言った。
「あの、何か」
「気持ちが上向いてきたでしょ」
「はい」
 カーミラに答えた。
「少しずつ」
「そうでしょ、ただね」
「ただといいますと」
「まだはじまりよ」
「飲むことのですか」
「そう、今日飲むことのね」
 それのというのだ。
「まだはじまりよ」
「朝のこのシャンパンは」
「そう、まだね」
「はじまりで」
「朝も心ゆくまで飲むけれど」
 それでもとだ、カーミラは自らもシャンパンを飲みつつ話した。
「それだけでなくね」
「ホテルを出てからもですね」
「いいお店を知ってるから」
「そこでもですね」
「ワインを飲みましょう」
 この酒をというのだ。
「そこではチーズやクラッカー、ソーセージと一緒にね」
「軽い感じで、ですね」
「飲みましょう」
「それもいい飲み方ですね」
 雪路はカーミラが話したその飲み方について微笑んで応えた。
「飲むワインは赤ですね」
「ええ、それをね」
「飲んでですね」
「また気持ちよくなって」
「心を洗い流せばいいですね」
「もう気持ちが軽くなってきたわね」
 カーミラはシャンパンを飲む雪路に尋ねた。
「シャンパンで」
「はい、何か」
「そうね、じゃあもっとね」
「飲むといいですか」
「食べながらね。朝はこうしたものを食べて」
 サラダや卵料理に燻製、そしてパンやフルーツそれにチーズやヨーグルトといったものと一緒にというのだ。
「シャンパンを飲むのがいいから」
「だからですね」
「このまま飲んでいきましょう」
「わかりました」
 雪路は頷いてだった、朝の豪奢なビュッフェを食べつつシャンパンを飲んでいった。そうして十杯程飲んだのだった。


第百四十一話   完


                2019・3・14
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