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愛しき君へ
第五章
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「貴方にとって大事なものは」
「そうなった、だがな」
「惚れ薬はですね」
「誰かにあげたい、折角君達の協力で素を手に入れて作ってもらっている」
「無駄には出来ないですね」
「そうだ、だからな」
 それ故にというのだ。
「私が気に入った誰かにな」
「差し上げますか」
「そうする、その時まで私が大事に保管しておこう」
「そして時が来れば」
「その誰かの恋の成就に役立ってもらうおう」
 薬にはとだ、こう言ってだった。
 探偵は二人に感謝の言葉と報酬を贈った、元々この日は二人をその為に呼んだので本来の目的も果たせた。
 その後でだ、ホーソーンはヴォネガットをある場所に案内した。そこはアナポリスのレストランでそこでだった。
 ホーソーンは山の様な生牡蠣に貝と野菜のクリーム煮、人参やジャガイモやアスパラガスボイルドベジタブルに若布を添えたもの、ポークビーンズに分厚く切ったバージニアハムのステーキを注文した。酒は地ビールだった。
 そうしたものを飲んで食べて依頼を達成したことを祝っているとだった。
 ホーソーンの手にあるものが宿った、それは何かというと。
「トリトンの兜や」
「防具ですね」
「そや、かなり頑丈でな」
 心の中に言ってくる言葉をだ、ホーソーンはヴォネガットに話した。
「水や雷属性の攻撃には特に強い」
「そうした防具ですか」
「これでわいはこれまで以上に戦える」
「そうなりましたね」
「有り難いことにな」
「それは何よりですね」
「そしてな」
 生牡蠣、開かれた殻の上に奇麗に置かれているそれの上にレモン汁をかけて次から次に食べながらヴォネガットに話した。観れば今食べているのはそれがメインだ。
「わい自身神託を適えてな」
「そうしてですね」
「全体的に一回り強くなった」
 心の中に言ってくる言葉を再び話した。
「そうなったわ」
「それは何よりですね」
「ほんまにな。それでな」
「これからはですね」
「まずこの美味いもんを食う」
 牡蠣やそうしたものをというのだ。
「そしてな」
「そのうえで、ですね」
「この世界を救う為にな」
 是非にという言葉だった。
「次の場所に行こうな」
「そうしますね」
「そや、神託は適えた」
 巨大なジョッキの中のビールを豪快に飲む、それからの言葉だった。
「それでわい等の仕事は終わりか」
「むしろこれからです」
「そや、この世界を救う」
「それが目的ですからね、私達の」
「そやからな」
「これで立ち止まらず」
「次の場所に向かおうな」
 こう言うのだった、そしてだった。
 ホーソーンはハムのステーキも食べた、分厚くよく火が通ったそれは見事な味だった。そのステーキも食べつつ次に行く場所のことを今から考えていた。


愛し
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