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迷宮の中での競争
第五章

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「わしは後で行く」
「何故ですか?」
「あんたに助けてもらった、それならな」
「そのことからですか」
「あんたに負けた、だからあんたが先に行ってからな」
 そのうえでというのだ。
「わしは行く、救護班の人が来たら事情を話してだ」
「それからですか」
「行く」
「ですがそうすれば」
「わしは負けるがわしはスポーツマンだ」
 プロのというのだ。
「そうする、だからな」
「先にですか」
「行くといい、そしてこのことについては有り難う」
 礼も言ってだ、そのうえでだった。
 老トレジャーハンターは実際に今は動かなかった、そしてだった。
 ルイスは先に行きデリーロは追い付いた、二人はそのままだった。
 最上階にあるゴールに着いた、二人同時だったが検証するとルイスが僅差で先にゴールしていたので彼が優勝となった。
 彼は優勝してから老トレジャーハンターのところに行くと彼はそのルイスに明るく笑って言った。
「今度はわしが優勝するからな」
「左様ですか」
「今日は楽しかったな」 
 にかっと笑って言った、これで全ては終わった。
 レースを終えたルイスは賞金を受け取ってからシカゴを後にした、二人はこの時まで素性を隠していた。
 そのうえでシカゴを出るその時にだった。
 ルイスの手に何かが宿った、彼はそれを見つつ隣にいるデリーロに話した。
「これはドーランド医学事典です」
「医学書ね」
「はい」
 心の中に言ってくる言葉をそのままデリーロに話す。
「これがです」
「あんたの新しい神具ね」
「知力を上げてくれて様々な医学の知識を授けてくれる」
「そうした神具ね」
「有り難い神具です、そして」
 ルイスは自分に語ってくることばをさらに話した。
「私自身強くなりました」
「そうなったのね」
「神託を乗り越えて」
 このことも心の中の言葉が言ってきていた。
「全体的に一回り」
「そうなったのね」
「はい、ではこの三つ目の神具と強くなった力で」
「その二つも使ってね」
「次の場所に行きましょう」
 こう言ってだった、そのうえで。
 ルイスは実際に次に行く場所に一歩踏み出した、それはただ次の場所に行くのではなく世界を救う為だった。彼はそのことも考えつつ一歩を踏み出したのだった。目もそこにあった。


迷宮の中での競争   完


                2019・5・24
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