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大学の怪異
第三章

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「だからね」
「この度もですね」
「動く前に」
「身だしなみを整えられましたか」
「そうよ、そしてね」 
 ボームはさらに話した、大学の歴史と学問を感じさせる中を歩きつつ。
「ことをはじめたのよ」
「そうですか」
「まずは決めることよ」
 身だしなみ、それをというのだ。
「そしてそれと共にね」
「常にですね」
「冷静さを保つ」
 このことについても言うのだった。
「それがダンディよ、ではね」
「今からですね」
「ダンディに決めたし」
「調べていかれますね」
「事件についてね」
 こう言ってだった、そのうえで。
 ボームはヘミングウェーと共に事件について調べだしたが行方不明になった者達は急に姿を消していてだった。
 手掛かりは一切なかった、そして。
 それだけでなくだ、どの者もだった。ボームは自分達に用意された部屋の中でヘミングウェーに話した。
「多少嫌われていてもね」
「特に、ですね」
「殺されてね」
「死体を何処かに隠される様な人は」
「いないわね」
「そこまで嫌われている人は」
「しかも行方不明になった人達の間に接点はなくて」
 それでというのだ。
「このこともね」
「事件がわからなくなっていますね」
「ひょっとして」
 ここでだ、ボームは言った。
「無差別にね」
「人を襲う何かがですか」
「この大学に潜んでいるのかしら」
「それで、ですか」
「そう、この大学に潜んでいて」
 そしてというのだ。
「無差別にね」
「人をですね」
「狙っているのかしら」
「だとすると」
「そう、この大学の何処かに」
「誰かが隠れている」
「そうかも知れないわよ」
 こうヘミングウェーに言うのだった。
「今回は」
「では」
「こうした時悪事を行う奴は見えない場所に隠れているわよね」
「誰もいない部屋等に」
「大学の中に。ただ」
 ここでボームはこうも言った、今は学長からの差し入れのバーボンが手元にある、二人で共に飲みつつ話した。
「ワテクシ達はもうね」
「大学の全ての部屋を調べましたね」
「隠れるのに向いているお部屋はあるけれど」
 それでもというのだ。
「それでもね」
「我々を見て気付かない様な部屋は」
「ないわ」
 そうだというのだ。
「一つもね」
「そうですね、ですが」
「ええ、このことはね」
「自分達がわかっているつもりですね」
「全てをね。そう思うと科学はね」
 科学者という職業からだ、ボームは言った。二人で飲んでいるバーボンはロックで肴はナッツ類である。
「進歩しないわ」
「実はわかっていない」
「そう思ってね」
 そしてというのだ。
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